女性のちょび漏れに鍼vs骨盤底筋トレニーング+薬
本日は、混合性尿失禁(MUI)に対する報告を読みました。
Liu B,et al. Electroacupuncture versus pelvic floor muscle training plus solifenacin for women with mixed urinary incontinence: A randomized noninferiority trial. Mayo Clin Proc. 2019 Jan;94(1):54-65.
女性の混合性尿失禁に対する鍼通電療法対骨盤底筋トレーニング+ソリフェナシン:無作為化劣勢試験
混合性尿失禁は、尿意切迫感と労作、くしゃみ、咳などで不随意に尿失禁を起こす。
女性の尿失禁の20~36%がこのMUIとされている。
膀胱と内因性尿道機能の障害が複雑に絡み合って起こると考えられており、保存的治療が選択されることが多い。
その内容として、骨盤底筋トレーニング(PFMT)や抗コリン薬が用いられるが、PFMTの長期的な効果は満足のいくものではないし、薬も長期服用は副作用もあり制限される。
鍼治療は小規模なスタディで有効性が示されているが、今回は中等度から重度のMUI患者に対して鍼通電療法と骨盤底筋+薬の効果を検証。
*ソリフェナシンは日本でもベシケア🄬として使用されているようです。
500人のMUI患者を無作為に鍼通電療法群と運動+薬群に分けた。
患者背景
鍼通電療法は、BL33(中リョウ)とBL35(会陽)に50-60mm刺入し、響きを得る。その後通電を10/50Hz、0.1~5.0mAで30分間実施。これを週3回、12週行った。
運動は、理学療法士が骨盤底筋トレーニングを指導(自宅でも行う)
ソリフェナシンは、1~36週目まで5㎎投与。
一次評価は、72時間の膀胱日誌測定した失禁頻度(IEF)のベースラインから12週までの変化率。
今回は劣勢試験のため、事前にマージンを15%と設定。
その結果、
1~12週ではIEFベースラインからの減少率は、
鍼通電療法群:37.83%
運動+薬群:36.49%
と両群の差は1.34(95%CI9.78-7.10)%と非劣勢を示した。
この効果は、36週までのフォロー期間も持続した。
BL33と35の刺激は、S3神経と陰部神経を介して骨盤底筋の調節や排尿筋過活動を抑制した可能性がある。
鍼通電療法は、従来の運動や薬と比べても遜色のない方法になることが期待できる。
今回の試験は、劣勢試験であり、優越性試験でp値による差をみるのではないため、慣れないと難しいかもしれません。
今回の試験では、プラセボの可能性が除外されていません。
また、マージンを15%とした根拠が分かりにくいので、微妙ですが、MUIの対象を中等度から重度にした点は好感がもてます。
女性のちょび漏れに、鍼を行うのも選択肢に入りますね。