都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

貧血について

本日は、貧血の分類と身体所見について。

非常にCommonでありながら、鍼灸師はどこまで把握しておく必要があるのか?は難しい部分です。

いくつかの文献を参考にまとめてみました。

 

貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態。

男性ではHb13.0g/dl、女性では12.0g/dl以下。

しかし、妊婦や高齢者ではHb11.0g/dl以下を基準とする。

 

加齢に伴う血球成分の変化では、赤血球数(RBC)、ヘマトクリット(Hct)、ヘモグロビン濃度(Hb)は減少傾向にあり、平均赤血球容積(MCV)はわずかに増加傾向となる。

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(日内会誌.2006;95:2021-5.)

 

分類

多く使用されるのは、検査値からの分類法で、赤血球の大きさが指標とされる。

小球性貧血

正球性貧血

大球性貧血

といったような分類。

 

これとは別に、原因別の分類もある。

材料の不足・赤血球の喪失や破壊の亢進・造血の低下に分けられる。

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(日内会誌.2012;101:1913-8.)

女性の多くは、材料の不足で鉄欠乏性が多い。

高齢者では、貧血の原因別にみると、

材料の不足~鉄・Vt.B12・葉酸欠乏

腎機能障害・慢性疾患に伴う貧血

その他

でおおよそ1/3程度ずつある感じ(Blood.2004 Oct 15;104(8):2263-8.)。

 

鍼灸で、これらの原因に対してどうアプローチすればいいのか?を考えていく必要がある。

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(日内会誌.2016;104(3):567-71.)

 

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(日内会誌.2006;95:2021-5.)


 

症状としては、

疲労感、労作時呼吸困難が多い。

めまいや立ち眩みといった訴えは、起立性低血圧を疑うが、慢性の場合は貧血とは関係がない場合が多い。

顔面の蒼白(慢性だと重度の貧血)

食欲低下(重度の貧血で多い)

動悸(頻度は低く30%程度)

などがある。

高齢者では、Hb濃度9g/dl未満であっても、自覚症状があるのは半数以下

7g/dlでも自覚症状に乏しい場合がある。

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(日内会誌.2006;95:2021-5.)

 

身体所見(Arch Intern Med.1990 Jan;150(1):201-4.)

眼瞼結膜の蒼白:感度58%、特異度74%、LR+2.2、LR-0.6

顔面蒼白:感度48%、特異度81%LR+2.5、LR-0.6

手掌蒼白:感度67%、特異度65%、LR+1.9、LR-0.5

爪床蒼白:感度52%、特異度58%、LR+1.2、LR-0.8

手掌皺蒼白:感度12%、特異度98%LR+6.0、LR-0.9

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これらが単独よりも、複数あれば貧血の可能性は高くなるので、眼や手を観察する。

でも、これらがないからといって、否定はできないことに注意。

 

本日は、こんな感じです。