貧血について
本日は、貧血の分類と身体所見について。
非常にCommonでありながら、鍼灸師はどこまで把握しておく必要があるのか?は難しい部分です。
いくつかの文献を参考にまとめてみました。
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態。
男性ではHb13.0g/dl、女性では12.0g/dl以下。
しかし、妊婦や高齢者ではHb11.0g/dl以下を基準とする。
加齢に伴う血球成分の変化では、赤血球数(RBC)、ヘマトクリット(Hct)、ヘモグロビン濃度(Hb)は減少傾向にあり、平均赤血球容積(MCV)はわずかに増加傾向となる。
(日内会誌.2006;95:2021-5.)
分類
多く使用されるのは、検査値からの分類法で、赤血球の大きさが指標とされる。
小球性貧血
正球性貧血
大球性貧血
といったような分類。
これとは別に、原因別の分類もある。
材料の不足・赤血球の喪失や破壊の亢進・造血の低下に分けられる。
(日内会誌.2012;101:1913-8.)
女性の多くは、材料の不足で鉄欠乏性が多い。
高齢者では、貧血の原因別にみると、
材料の不足~鉄・Vt.B12・葉酸欠乏
腎機能障害・慢性疾患に伴う貧血
その他
でおおよそ1/3程度ずつある感じ(Blood.2004 Oct 15;104(8):2263-8.)。
*鍼灸で、これらの原因に対してどうアプローチすればいいのか?を考えていく必要がある。
(日内会誌.2016;104(3):567-71.)
(日内会誌.2006;95:2021-5.)
症状としては、
易疲労感、労作時呼吸困難が多い。
めまいや立ち眩みといった訴えは、起立性低血圧を疑うが、慢性の場合は貧血とは関係がない場合が多い。
顔面の蒼白(慢性だと重度の貧血)
食欲低下(重度の貧血で多い)
動悸(頻度は低く30%程度)
などがある。
高齢者では、Hb濃度9g/dl未満であっても、自覚症状があるのは半数以下
7g/dlでも自覚症状に乏しい場合がある。
(日内会誌.2006;95:2021-5.)
身体所見(Arch Intern Med.1990 Jan;150(1):201-4.)
眼瞼結膜の蒼白:感度58%、特異度74%、LR+2.2、LR-0.6
顔面蒼白:感度48%、特異度81%、LR+2.5、LR-0.6
手掌蒼白:感度67%、特異度65%、LR+1.9、LR-0.5
爪床蒼白:感度52%、特異度58%、LR+1.2、LR-0.8
手掌皺蒼白:感度12%、特異度98%、LR+6.0、LR-0.9
これらが単独よりも、複数あれば貧血の可能性は高くなるので、眼や手を観察する。
でも、これらがないからといって、否定はできないことに注意。
本日は、こんな感じです。