都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

おなかは、横から観察しましょう

本日は、腹部視診についてです。

 

須藤博.「一目瞭然!目で診る症例」問題.日内会誌.2012;101:2367-9.

 

90歳男性。

3日前からの食欲不振のため受診。

腎機能障害(BUN153mg/dl、Cr6.65mg/dl)を指摘。

腹部写真(矢印は臍の位置)。

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どのような病態か?

 

 

回答

尿閉、腎後性腎不全

 

臍から足側が膨隆。

これは尿閉で膀胱が拡張していることを表す。

これが女性ならば、妊娠・卵巣嚢腫などの骨盤内腫瘤が示唆される。

高齢者の尿閉は、「尿が出ない」とは訴えないことがある。「尿の回数が多い」と訴えることもある(溢流性尿失禁)。

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腹部を診て、尿閉が疑わしければ、膀胱の聴性打診を行う。

 

腹部の視診をする際に、基準となるのは臍。

まずは上からみると、こんな感じ

 

上からみた腹水のイラスト

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消化管閉塞のイラスト

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妊娠や腹腔内腫瘤のイラスト

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肥満のイラスト

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これを横からみると、

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となり、あわせても10秒程度で終わる。

横から診る癖をつけておくことが大切です。