おなかは、横から観察しましょう
本日は、腹部視診についてです。
須藤博.「一目瞭然!目で診る症例」問題.日内会誌.2012;101:2367-9.
90歳男性。
3日前からの食欲不振のため受診。
腎機能障害(BUN153mg/dl、Cr6.65mg/dl)を指摘。
腹部写真(矢印は臍の位置)。
どのような病態か?
回答
尿閉、腎後性腎不全
臍から足側が膨隆。
これは尿閉で膀胱が拡張していることを表す。
これが女性ならば、妊娠・卵巣嚢腫などの骨盤内腫瘤が示唆される。
高齢者の尿閉は、「尿が出ない」とは訴えないことがある。「尿の回数が多い」と訴えることもある(溢流性尿失禁)。
腹部を診て、尿閉が疑わしければ、膀胱の聴性打診を行う。
腹部の視診をする際に、基準となるのは臍。
まずは上からみると、こんな感じ
上からみた腹水のイラスト
消化管閉塞のイラスト
妊娠や腹腔内腫瘤のイラスト
肥満のイラスト
これを横からみると、
となり、あわせても10秒程度で終わる。
横から診る癖をつけておくことが大切です。