都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

家族歴って大切ですね

本日は、家族歴について考えてみました。

きっかけは、この論文

荒木吉郎、他.兄妹同時に発症した急性虫垂炎.日臨外会誌.2014;75(3):701-6.

 

タイトルだけみると、兄妹同時発症なんてあるんだーという軽い気持ちで読み始めましたが、なかなか家族歴に重要性を軽視していたな~と反省しました。

 

虫垂炎の発生頻度は8%とされていますが、年齢別にみると若い人に多い。

急性腹症の訴えの患者を調べたら、虫垂炎だった人は

20-64歳:11%

65歳-79歳:3%

80歳以上:3%

という頻度が報告されている(Gerontology.2006;52(6):339-44.)。

若い人ではもちろん、高齢者でも虫垂炎は見逃されないように気を付けるべし。

 

とはいえ、11%の数字だけをみると、兄妹同時発症の確率はかなり低いと思う。

 

報告では、3兄妹の長女が過去に虫垂炎で保存的加療しており、今回は長男と次女が同時期に右下腹部痛を訴えた。

親は虫垂炎既往なし。

f:id:ararepyon:20190906070215p:plain

2人とも手術で治ったそう。

長女↓

f:id:ararepyon:20190906070230p:plain

長男↓

f:id:ararepyon:20190906070244p:plain

同じような食生活や習慣があれば、同じ病気になることもあるかもしれない。遺伝的要因もあるのだろう。

しかし、同時期発症となると何か他に要因があるかもしれない。

たまたまなのかもしれない。分からない。

 

いくつかの、虫垂炎の家族歴を示す報告もある。

f:id:ararepyon:20190906070303p:plain

Buddらは、1家系で16人の虫垂炎発症があったことを報告している(Am J Surg.1977 Jun;133(6):670-1.)。

Andersonらは、虫垂炎の外科的治療の多いのは家族歴と関係があるとしている(Br Medic J.1979;2:697-8.)。

f:id:ararepyon:20190906070314p:plain

f:id:ararepyon:20190906070325p:plain

問診をする際に、家族歴を軽視せず、きちんと聴取するように気を付ける。

そのためにも、家族歴のある疾患やない疾患をしっかりと頭に入れておく必要があるだろう。