腰椎椎間板ヘルニアの経過
本日8月9日は、ハリ(8)キュウ(9)の日なんだそうです。
これまでの鍼灸医学の歩みと今の現状、そしてこれからの希望を考える一日にするのもいいかもしれません。
さて、本日の抄読は、腰椎椎間板ヘルニアについてです。
以前は、椎間板は突出するとそのままだろうと考えられていました。
ですが、MRIなどの画像機器の発展により、椎間板の突出が消退している人がいることが報告され、症状が軽減~消失するケースがあるとシフトチェンジされてきました。
今回の報告は、保存的治療でどのような経過(椎間板の変化)をたどるのか?をMRI撮影しながら観察した報告です。
Kesikburun B, et al. Spontaneous regression of extruded lumbar disc herniation: Correlation with clinical outcome. Pak J Med Sci. 2019 Jul-Aug; 35(4): 974-980.
(目的)
椎間板の変化と臨床評価との相関を調査
(対象)
腰椎椎間板ヘルニア患者40人(罹病期間17.0±7.2ヶ月)
(方法)
MRI撮影でヘルニアの状態を随時観察し、臨床評価(NRSとオスウェストリー腰痛障害指数(ODI)、筋力低下と相関があるのかを解析
(結果)
ヘルニアに変化なし:4人(10%)
一部消退:6人(15%)
完全消退:30人(75%)
この3つのグループで、患者背景に違いはなし(Table 1)
Table 2↑
ヘルニアが完全消失した30人は、経過とともにNRSも有意に低下。
一部消退と完全消失したグループは、ODIが有意な低下。
筋力低下は統計不可であったが、筋力の改善傾向があり。
ヘルニアが消失する割合が高いほど、臨床評価の改善度も高い。
(結論)
罹病期間の長いヘルニア患者では、ヘルニアのサイズが縮小していく可能性が示唆された。
(感想)
今回の対象は、慢性腰痛患者であり、ヘルニアが自然退行するとともに痛みの程度などが下がることが示されました。
参考値とはなるでしょうが、「75%はヘルニアは消える、10%は変わらないとされています。鍼灸は免疫力を上げ、さらにヘルニアが消える可能性があります。」
といったようなことが示せるかもしれません。