頭蓋内圧亢進の診断精度
本日の論文は、あんまり鍼灸師の役に立つ報告ではないように思います。
でも、面白そうだったので読んでみました。
Femando SM, et al. Diagnosis of elevated intracranial pressure in critically ill adults: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2019 Jul 24; 366:I4225.
重症成人における頭蓋内圧亢進の診断: 系統的レビューとメタアナリシス
頭蓋内圧亢進(ICP)の診断には、身体所見・CT・視神経の超音波検査(ONSD)・経頭蓋ドップラー指数(TCD-PI)が行われることが多い。
これらのレビューとメタ解析から、診断精度を割り出す。
いくつかのデータベースから集積し、40(n=5123)の論文が残った。
診断精度の結果は、
このうち、身体所見は瞳孔拡張、グラスゴーコーマスケールのM(最良運動反応)が3点以下、グラスゴーコーマスケール8点以下の3つがメタ解析できた。
診断精度は上記の表の通りです。
GCS8点以下は感度は75.8%とされるが、研究の質が低いとされているようです。
そうなると、身体所見で判断する根拠に乏しいとなりそうです。
瞳孔拡張は感度は低いですが、特異度85.9%と高いですので、瞳孔拡張があったらやばいですが、「瞳孔拡張がないから大丈夫」とは言えません。ってことになると思います。
普段の鍼灸師の臨床では、なかなか遭遇するものではありませんが、瞳孔観察だけで判断することなく、いくつかのアセスメント技術を磨いておくと、いざという時に役に立つかもしれません。