不眠と鍼
本日は、不眠。
不眠を訴える方では、鑑別として「抑うつ気分」「興味の喪失」がないか?
むずむず足症候群や睡眠時無呼吸症候群が潜んでいないかは、頭のどこかに入れておく。
今回は、不眠に関する鍼治療の報告を2編
まずは
中村真理、他.女性の不眠症に対する鍼灸治療の効果. 女性心身医学. 2018; 23(2): 89-95.
2012年6月~2017年8月の間に不眠症で治療を行った59名(平均年齢43.5±7.4歳)
除外:アトピー性皮膚炎を有する、不妊治療中、アテネ不眠尺度(AIS)で4点未満(不眠疑いなし)
結果
AISが開始前と比べ、有意な改善を示した。
図5は、セルフケアとして有用性があると思われる経穴
2編目は、
鍋田智之、他. 不眠に対する円皮鍼治療の効果~シャム鍼対照N-of-1試験~.
全日本鍼灸学会雑誌. 2015;65(2):91-98.
A:無治療(1週間)とB:円皮鍼治療(3週間)、C:シャム円皮鍼(3週間)を対象4名に無作為に行った。
使用経穴は、神門・内関・三陰交に0.6mmサイズを週2回貼付
評価~睡眠日誌。ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、日本語気分プロフィール調査(POMS)、ストレスのVAS、腕時計型睡眠計を記録
結果
B群では、中途覚醒回数の減少が認められた。睡眠時間に差はなし。
今回の検証では、バイアス対策が不十分である。
今回、不眠に関する2編の報告を読んだ。
不眠と一言でまとめても、不眠のタイプは様々で、薬物療法もタイプに合わせて処方される。
不眠に悩む患者さんは、一度服用したら、ずっと飲み続けないといけないのか?と思っている患者さんは多い。
一方、服薬により快適な睡眠が得られたと喜ぶ患者さんも多い。
鍼灸師は、服薬治療を否定する先生方がいることは知っている。
しかし、大切なのは患者さんの日常生活の障害を取り除くことが、まずは第一である。
副作用の問題なども確かにないがしろにはできないが、優先順位の問題なのだろう。
そのためには、今の不眠に対するエビデンスでは、薬物療法を否定して鍼灸をとは、言えない。
鍼灸に効果があると思うからこそ、もっと他職種の方が納得するようなエビデンスを構築しなくてはいけない。