難聴に対する鍼灸症例報告
Complete recovery following electroacupuncture therapy in refractory unilateral sensorineural hearing loss.
J Acupunct Meridian Stud.2019 Apr 26.pii:S2005-2901(18)30402-3. doi:10.1016/j.jams.2019.04.003.より
難治性片側感音性難聴における鍼通電療法による回復
難治性の片側感音性難聴(SNHL)に対する鍼通電療法(EA)の効果は不明であるが、2例の症例では良好な結果だったという報告だ。
症例1:46歳、女性
約7ヵ月前に始まった右耳のめまいと耳鳴りで耳鼻科を受診。聴力検査では左耳は正常であったが、右耳は軽度から中等度の感音性難聴であることを示した。耳鏡検査や臨床検査は正常であった。
14日間の高容量のプレドニゾロンと1か月間のベタヒスチンの治療を行ったが改善はなし。
めまいは、5-20分程度の持続時間で、神経学的所見はなし。耳鳴りは悪化はしていないようだが、就寝時に悪化するようだと言う。
発症から6か月たち、EAを開始した。
3週間のEAを受けた後の聴力検査では、特に6000Hzで聴力の回復傾向があった。そしてさらに1週間後(開始から4週後)には、聴力は正常を取り戻した。
症例2:55歳、女性
既往歴:高血圧症
約6年前に発症した突然の右耳の難聴で、耳鼻科を受診。
2週間のプラスベタヒスチンと1か月間のメチルコバラミンを行ったが、治療後も右耳に持続性の高音耳鳴りがあった。
めまいは最初の数日のみ。他の臨床検査も陰性であった。
6年経過し、依然として耳鳴りは持続し、EAを受けることになった。
EA開始から1週間で耳鳴りの減少を自覚し、4週後には正常となった。
有害事象はなし。
鍼通電療法の部位
こうした難聴や耳鳴りに対する鍼灸治療報告はいくつかあるが、いずれも症例報告や症例集積が多い。それでは、だいたい8割近くの有効性が示されていることが多い。
難聴でのRCTがあるのかは不明だが、それだとどのくらいの効果があるのか、そのうち調べてみよう。