拡張期高血圧について
本日は、比較的若年者に多い印象の拡張期高血圧について。
収縮期血圧(SBP)は、左室収縮による動脈内圧を示し、
拡張期血圧(DBP)は、心臓が拡張して最も低くなった動脈内圧を示す。
一般的に、加齢に伴い、SBPとDBPの差は広がっていく。
それは、SBPは加齢に伴い上昇傾向を示すが、DBPは50歳代を目途に減少傾向を示すため。
そのため、拡張期高血圧(isolated diastolic hypertention:IDH)の状態は、50歳までに多い。
高齢者でIDHの状態は、腎血管性高血圧などの二次性高血圧を考えたりする。
こうした血圧の正常は、しょっちゅう変わる。
今回も140/90mmHgから130/80mmHgにACC/AHAでは変わった。
このIDHは、将来の心血管イベントにつながるか?の報告が今回扱う報告。
Association of Isolated Diastolic Hypertension as Defined by the 2017 ACC/AHA Blood Pressure Guideline With Incident Cardiovascular Outcomes.
NHANESというアメリカ国民を対象にした研究
ARICスタディというアテローム性動脈硬化のリスクを検討した研究
のデータを基に、IDH頻度や心血管障害のリスクなどを検討。
その結果、
IDH頻度は、
ACC/AHA2017ガイドラインでは6.5%
JNC7ガイドラインでは1.3%
と差がある。
これは、JNC7のIDH90mmHgが基準、ACC/AHAは80mmHgが基準となっているため?
しかし、両者の共通事項として、45-54歳代で最も多い。
ARICスタディにおける心血管イベント発生率
IDHと非IDH(血圧正常)での比較
IDH群で若干高い傾向を示してるけど、統計学的な有意差はなし。
次いで、いくつかのパターンを作り、比較したもの。
Model1:年齢・人種・教育水準・性別で調整
Model2:年齢・人種・教育水準・性別・喫煙・飲酒・HDL・LDL・TG・BMI・降圧薬・DM・GFR推定値で調整
Model3:年齢・人種・教育水準・性別・喫煙・飲酒・HDL・LDL・TG・BMI・降圧薬・DM・GFR推定値・SBPで調整
JNC7では、Model3になると心血管イベントが発生しやすいと思われるが、ACC/AHAでは正常の場合のリスク比と変わらない。
拡張期血圧が80台ならば、そんなに心配しなくてもいいけど、90以上ならば、基礎疾患などによっては将来の心血管イベントが少し気になる。という感じ。