都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

拡張期高血圧について

本日は、比較的若年者に多い印象の拡張期高血圧について。

 

血圧は、収縮期血圧拡張期血圧がありますが、

収縮期血圧(SBP)は、左室収縮による動脈内圧を示し、

拡張期血圧(DBP)は、心臓が拡張して最も低くなった動脈内圧を示す。

 

一般的に、加齢に伴い、SBPとDBPの差は広がっていく。

それは、SBPは加齢に伴い上昇傾向を示すが、DBPは50歳代を目途に減少傾向を示すため。

そのため、拡張期高血圧(isolated diastolic hypertention:IDH)の状態は、50歳までに多い。

高齢者でIDHの状態は、腎血管性高血圧などの二次性高血圧を考えたりする。

「拡張期高血圧」の画像検索結果

 

こうした血圧の正常は、しょっちゅう変わる。

今回も140/90mmHgから130/80mmHgにACC/AHAでは変わった。

このIDHは、将来の心血管イベントにつながるか?の報告が今回扱う報告。

 

 2020 Jan 28;323(4):329-338. doi: 10.1001/jama.2019.21402.

Association of Isolated Diastolic Hypertension as Defined by the 2017 ACC/AHA Blood Pressure Guideline With Incident Cardiovascular Outcomes.

McEvoy JW,et al.

 

ACC/AHA2017ガイドライン・JNC7ガイドライン

NHANESというアメリカ国民を対象にした研究

ARICスタディというアテローム動脈硬化のリスクを検討した研究

CLUEスタディという悪性腫瘍と心疾患のコホート研究

のデータを基に、IDH頻度や心血管障害のリスクなどを検討。

 

その結果、

IDH頻度は、

ACC/AHA2017ガイドラインでは6.5%

JNC7ガイドラインでは1.3%

と差がある。

これは、JNC7のIDH90mmHgが基準、ACC/AHAは80mmHgが基準となっているため?

しかし、両者の共通事項として、45-54歳代で最も多い

 

ARICスタディにおける心血管イベント発生率

IDHと非IDH(血圧正常)での比較

IDH群で若干高い傾向を示してるけど、統計学的な有意差はなし。

 

次いで、いくつかのパターンを作り、比較したもの。

Model1:年齢・人種・教育水準・性別で調整

Model2:年齢・人種・教育水準・性別・喫煙・飲酒・HDL・LDL・TG・BMI・降圧薬・DM・GFR推定値で調整

Model3:年齢・人種・教育水準・性別・喫煙・飲酒・HDL・LDL・TG・BMI・降圧薬・DM・GFR推定値・SBPで調整

JNC7では、Model3になると心血管イベントが発生しやすいと思われるが、ACC/AHAでは正常の場合のリスク比と変わらない。

 

拡張期血圧が80台ならば、そんなに心配しなくてもいいけど、90以上ならば、基礎疾患などによっては将来の心血管イベントが少し気になる。という感じ。