甲状腺機能低下症の方にはうつ病のスクリーニングをした方がいい
Mohammad MYH et al. Prevalence of depression among hypothyroid patients attending the primaryhealthcare and endocrine clinics of kingfahad hospital of the university (KFHU). J Family Med Prim Care 2019 Aug 28;8(8):2708-2713.
一次医療および内分泌クリニックで甲状腺機能低下症患者のうつ病有病率調査
有病率と両者の関連要因を調べた。
甲状腺機能低下症患者56名(42.05±11.49歳)が対象で、
このうち33.9%でうつ病が発見された。
インドの報告では、甲状腺機能低下症患者の12.5%にうつ病、アメリカでは5%、イギリスでは2%と幅がある。これはサンプルサイズ・性別・社会経済的特性などが関係すると思われる。
うつ病の程度は、軽度37.5%と多いが、次が重度19.6%となり、楽観視できない。
うつ病の有無で、症状の違いは?
疲労・脱毛・体重増加が特に高い。
症状とうつ病の関連性を調べると、記憶喪失以外が関連性があるという結果だった。
しかし、他の研究(インド)では、記憶喪失のみが関連性が認めれれたとする報告もある(Journal of Medical Science And clinical Research [Internet] 2017;05(03):219478–19484.)。
うつ病の有無で社会経済的なストレスに違いがあるか?
両者には相関関係は認められなかったが、割合が明らかに異なる。
うつ病がある方がむしろ、ストレスと感じていない?感受性が低下した状態になるのか?
他の疾患の併発と関連するか?
関係なさそう。
この他にもTSHレベルとうつ病の関連性も認められなかった。
これより、生活のストレスや他の疾患や薬剤との影響よりも、甲状腺機能低下症自体の影響でうつ病になる可能性が高い。
しかし、今回の対象者が一般的な人口ベースと差がないかは分からないので、参考程度にはなるだろうと思います。
少なくとも、甲状腺機能低下症の患者さんには、うつ傾向がないかをスクリーニングする方が良さそうです。