都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

妊婦さんの腰や骨盤の痛み

本日は、妊婦さんの骨盤痛や腰痛がどのくらいの頻度ででるのかを調べた報告をいくつか読んでまとめてみました。

 

まずは、

Womens Health(Lond).2019 Jan-Dec;15:1745506519842757. より

初産婦の妊娠中や産後の痛みについて調べたものです。

288人のうち94%は妊娠中に体幹部のいずれかに痛みがあったとし、産後も75%はあったとしている。

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上の写真のタイプ別にみると、

妊娠中:42%、77%、74%

産後:43%、52%、41%

で、肩背部の痛みはほとんど同程度だが、腰痛と骨盤痛は低下傾向になる。

3か所すべてに痛みがあると訴える女性も27%いた。

妊娠中や産後の痛みは、腰痛だけでなく、体幹部全体を診ることを心掛けるといいかもしません。

 

しかし、これらの骨盤や腰の痛みには人種差があるのか?

ネパール人による検討があります。

BMC Pregnancy Childbirth.2019 Jul 15;19(1):247. より

1284人の妊婦へのアンケート調査の結果、腰痛もしくは骨盤痛の有病率は34%。

 

Anesth Essays Res.2019 Apr-Jun;13(2):395-402. より

200人のインド人のアンケート調査では、妊娠中腰痛が78%、骨盤痛が2%、肩背部痛20%とされ、骨盤痛は圧倒的に少ない。

これらの痛みは、日内変動があると訴える人が56%。

痛みによるものなのか、不眠症を訴える人も33%いた。

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妊娠21週ごろから増加傾向になる。

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この痛みは、持続することが多いが、半数は2週後には消失

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VASの割合をみると、結構いたいと訴える人が多い。

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痛みの質は、鈍い痛みと訴える人が多い(47.5%)。

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報告により、有病率にはバラツキがあるようです。

ですが、痛みの程度は、比較的中等度から重度のことが多く、そのために精神的な症状が随伴したり、身体活動性の制限が起きているようです。

 

こうした痛みに対して、補完代替医療を活用している人はどのくらいいるのか?

Complement Ther Clin Pract.2018 May;31:379-383. より

 

イギリスの妊婦さんにオンライン調査をした結果、191人の回答があった。

このうち70%が、1週以上続く腰痛および骨盤痛があったと回答。

ガードルを使った治療や理学療法による施術には半数が不満の残る結果だった。

痛みに関係なく妊娠中に参加者の25%は補完代替医療を使用。

アロマセラピー:21%

鍼治療:21%

リフレクソロジー:15%

痛みに対しては、81%が何らかの補完代替医療を選択していた。

 

鍼治療を行うと、結果的に妊娠中の腰痛や骨盤痛の治療にかかる費用は高くつくのか?

PLoS One.2019 Apr 22;14(4):e0214195. より

 

鍼治療を行う96人と標準的治療(ガードルなど)を行う103人で比較。

NRSが4以下になるまでの日数を比較したら、鍼治療群61%、標準的治療群48%と有意な差があった。

また、その費用も比較すると鍼治療群の方が結果的に安くなるという結果でした。

平均で2947ユーロ安い(1ユーロが約120円として、平均総費用はだいたい35万円ほど安くなる)。

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妊娠中ならびに産後の腰痛や骨盤痛、肩背部痛は、一定の割合でいるが、その痛みの程度が強い傾向にあるため、様々な症状が不随することもあります。

こうしたときに鍼治療を併用すると、治療効果のみならず、費用の負担も軽減できる可能性が示唆されています。