頭をけがした子供、CT必要?
本日は、頭部外傷後のCTの必要性を検討した報告です。
子供を持つと、少しの頭部外傷でも病院に行って、診てもらいたくなりそうです。
そんなときに役に立つ報告です。
Babl FE, et al. Accuracy of PECARN, CATCH, and CHALICE head injury decision rules in children: a prospective cohort study. Lancet. 2017 Jun 17;389(10087): 2393-2402.
これまでに、頭部外傷にCTが必要かのルールがいくつか報告されており、
PECARN
CATCH
の3つで最も優れたものは何か?
を今回検討しています。
それぞれのルールは以下のようになっています。
PECARNは2歳以下と以上で分けられています。
脳と発達. 2018;50:413-7.より
対象は、オーストラリアとニュージーランドの10の救急病院で頭部外傷の20137人
その結果、
全体として、
2106人(10%)はCTを行った。
4544人(23%)は入院
83人(1%未満)は、脳神経外科手術
15人(1%未満)は、死亡。
PECARNでは、
2歳未満の4011人と2歳以上の11152人で行った。
2歳未満では、
感度100(90.7-100.0)%
特異度53.8(52.3-55.4)%
2歳以上では、
感度99.0(94.4-100.0)%
特異度45.8(44.9-46.8)%
と最も感度が高い。
PECARNルールで陰性であれば、CTの必要はないと判断できる。
しかし特異度は低いので、ルールで陽性でもCTが必要とは判断できない。
そのときは、他のルールを用いることになる。
3つのルールに、24時間以内の受傷、GCS13-15の条件で18913人で比較したら、
結果は、さほど変わらない。
各ルールの項目ごとにみてみると、
PECARNの「前頭部以外の外傷」と「親がなんかおかしいと思う」は12-13%の範囲で認めた所見なので、要注意の項目(2歳未満)。
「意識消失した(なんとなく元気がない)」「嘔吐した」「強く頭を打った」は2歳以上では要注意。
小児の放射線被ばくは、将来の脳腫瘍や白血病のリスクを上昇させるとされているので、CTの必要性を確認することは大切になる(Lancet.2012 Aug 4;380(9840):499-505.
) 。
親には、そうしたことも理解してもらった上で、医師と相談し、行うか判断することが望ましいとされている。
しかし、実際には難しいだろう。