都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

肩の痛みPart4;肩峰下症候群

4.肩峰下症候群

(1)インピンジメント症候群

インピンジメント;直訳で「衝突する」

・1972年にNeerさんが提唱⇒比較的最近のもので、回旋筋腱板の衝突

・肩峰、肩峰烏口靭帯、肩鎖関節下の問題⇒滑液包炎、腱炎、腱断裂

・原因~高齢者(機械的摩擦;経年劣化)、野球や水泳、テニスなどの方を使うスポーツ⇒回旋筋腱板の損傷や炎症

・肩峰下滑液包炎⇒インピンジメントサイン;PMRを鑑別

・理学的所見~Neerテスト、Hawkinsテスト

棘上筋を肩峰にこすりつけ、痛みを誘発するテスト

滑液包炎、腱炎、回旋筋腱板の損傷や断裂を示唆するが、これらの鑑別は困難

①Neerテスト

・前腕を回内させ、母指が床を指すようにし、上腕を持ち上げる

肩峰下インピンジメントとは?|たくみロドリゲス@運動器理学療法士|note

②Hawkinsテスト

・患者の腕と肘を90°まで屈曲、前腕を90°内旋する

肩峰下インピンジメントとは?|たくみロドリゲス@運動器理学療法士|note

 

回旋筋腱板炎と部分断裂・完全断裂

1腱板炎~棘上筋が必発

Painful Arc(有痛弧)徴候;120°から40°の範囲で痛む

関節内の損傷ならば、全範囲で痛む。また部分断裂でも腱板炎と同様の範囲に疼痛が起こるので鑑別は難しい

NeerやHawkinsテスト、SpeedやYergasonテストを実施して、鑑別

 

フィジカルの精度;

Neerテスト:感度68~89%、特異度32~69%、LR+1.6、LR-0.5

Hawkinsテスト:感度72~92%、特異度26~66%、LR+1.6、LR-0.4

Hawkins+Neer:感度96%、特異度41%、LR+1.6、LR-0.1

Painful Arc:感度32~74%、特異度81~82%、LR+2.8、LR-NS

Speedテスト:感度38~69%、特異度55~83%、LR+1.9、LR-0.7

Yergasonテスト:感度37%、特異度87%、LR+2.8、LR-0.7

 

2断裂

棘上筋の断裂を触診する

部分断裂ならば、Painful Arcで陽性だが、完全断裂では痛みが消失する。しかし挙上自体が不可。

Drop Armテスト;上肢を180°まで外転した状態でスタート。そこからゆっくり腕をおろしてもらうと100°まではいける(ここまでは三角筋が補助できる)が、その後はストンと落ちる。

回旋筋腱板の筋の脱力をみる(特に棘上筋)

 

・回旋筋腱板の理学的検査

①棘上筋テスト(空き缶テスト;Enpty can test)

最も登場頻度が高い

上腕の外転を三角筋と協働で行う

母指を下にして(上にすることもある)、肩関節の外転を促す、それに抵抗を加える。

腱板損傷を判断する評価テスト | リペアセルクリニック東京院

②棘下筋と小円筋(外旋テスト)

上腕の外旋

腕は体につけて外旋を促す、それに抵抗を加える

腱板損傷を判断する評価テスト | リペアセルクリニック東京院

③肩甲下筋(Lift off test)

上腕の内旋と内転

背中に手を回し、手背を腰に当てる。手背を腰から離す動作を促し、抵抗を加える。

腱板損傷を判断する評価テスト | リペアセルクリニック東京院

回旋筋腱板の断裂に対する精度;

≦39歳:感度5%、特異度58%、LR+0.1、LR-

40-59歳:感度34%、特異度 、LR+NS、LR-

≧60歳:感度62%、特異度81%、LR+3.2、LR-

棘上筋の萎縮:感度55%、特異度73%、LR+2.0、LR-0.6

棘下筋の萎縮:感度55%、特異度73%、LR+2.0、LR-0.6

Painful Arc:感度76~97%、特異度10~62%、LR+NS、LR-0.4

Neerテスト:感度88%、特異度43%、LR+1.5、LR-0.3

Hawkinsテスト:感度83%、特異度51%、LR+1.7、LR-0.3

棘上筋テスト:感度63~85%、特異度52~60%、LR+2.1、LR-0.5

棘上筋の筋力低下:感度32~84%、特異度52~81%、LR+2.1、LR-0.5

棘下筋の筋力低下:感度51~76%、特異度57~84%、LR+2.3、LR-0.5

Drop Armテスト:感度10~35%、特異度88~98%、LR+2.9、LR-NS

触知可能な断裂:感度91~96%、特異度75~97%、LR+10.2、LR-0.1

 

 

(2)上腕二頭筋腱炎

・この筋は、前腕の屈曲と回外に作用

上腕二頭筋腱、特に長頭は損傷しやすい

理学的検査~Speedテスト、Yergasonテスト

①Speedテスト(屈曲)

掌を上にして肘は伸ばす。患者に肘の屈曲を促し、検者は抵抗を加える。

②Yergasonテスト(回外)

肘を90°屈曲し(腕は体に付けた姿勢)、患者は前腕の回外を促し、それに抵抗を加える。

身体所見でPMRらしさが分かるか? - リウマチ膠原病徒然日記