都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

鍼施術後の気胸報告

本日は、鍼施術後に両側性気胸を起こした症例報告。

 

進藤博俊、他.鍼治療後に生じた両側性気胸の1症例.日救急医会関東誌.2020;41(2):271-273.

 

鍼治療後の片側気胸の発生率;0.53%

自然両側性気胸頻度;自然気胸の1-4%

自然両側性気胸の原因;肺がん・COPD・肉芽腫性肺疾患・特発性肺線維症など

 

症例;

67歳、男性。特に基礎疾患はなし。

腰痛治療目的で鍼灸院で鍼治療を受ける。

後頚部・肩甲骨下部・両腋窩部・臀部・下腿腓腹部に施術。

使用した鍼;60mm・30mm・15mm

刺入深度;40mm(両腋窩部)・10mm(後頚部・肩甲骨下部・臀部・下腿腓腹部)・5mm

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鍼治療から3時間半後より呼吸困難感が出現。徐々に増悪。

救急搬送。

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両側性気胸だった。

5日後に退院。

 

鍼の安全刺入深度;

前胸部8-26mm

背部20mm前後

腋窩部の40mmの刺入が気胸の原因と考えられる。

 

腰痛治療目的で、腋窩部に40mmも刺入した理由は考えても分かりません。

広背筋腱を刺激したかったのかもしれませんが、40mmも刺入する必要はないし。

なぜなのでしょうか?

また別の報告では、腎兪穴への鍼で気胸が起きた症例も報告されています。

 

 

こうした事例は気胸が起きた機序も含めて周知して、再発予防に努めなければいけません。