鍼施術後の気胸報告
本日は、鍼施術後に両側性気胸を起こした症例報告。
進藤博俊、他.鍼治療後に生じた両側性気胸の1症例.日救急医会関東誌.2020;41(2):271-273.
鍼治療後の片側気胸の発生率;0.53%
自然両側性気胸の原因;肺がん・COPD・肉芽腫性肺疾患・特発性肺線維症など
症例;
67歳、男性。特に基礎疾患はなし。
腰痛治療目的で鍼灸院で鍼治療を受ける。
後頚部・肩甲骨下部・両腋窩部・臀部・下腿腓腹部に施術。
使用した鍼;60mm・30mm・15mm
刺入深度;40mm(両腋窩部)・10mm(後頚部・肩甲骨下部・臀部・下腿腓腹部)・5mm
鍼治療から3時間半後より呼吸困難感が出現。徐々に増悪。
救急搬送。
両側性気胸だった。
5日後に退院。
鍼の安全刺入深度;
前胸部8-26mm
背部20mm前後
腰痛治療目的で、腋窩部に40mmも刺入した理由は考えても分かりません。
広背筋腱を刺激したかったのかもしれませんが、40mmも刺入する必要はないし。
なぜなのでしょうか?
また別の報告では、腎兪穴への鍼で気胸が起きた症例も報告されています。
こうした事例は気胸が起きた機序も含めて周知して、再発予防に努めなければいけません。