褥瘡(床ずれ)と鍼通電療法の症例報告
本日は、褥瘡に奏功した鍼通電療法の症例報告です。
褥瘡をみる鍼灸師は少ないかもしれません。さらに施術する鍼灸師となるともっと少ないかもしれません。
ですが、鍼灸は既存の方法に組み合わせることで、治癒を促すため、患者さんの負担軽減につながる有益な方法と考えます。
Yue J,et al. A case of electroacupuncture therapy for pressure ulcer. Acupunct Med. 2013 Dec;31(4): 450-1.
症例:42歳、女性
疾患:脊髄損傷(C6-7)、対麻痺
褥瘡は仙骨部に発生。グレードⅢ(皮下組織までの欠損)
総面積7.77cm²(長さ4.0cm、幅2.5cm)
鍼通電療法は、創縁から1cm離れた部位に2箇所鍼(直径0.30mm)を行い、通電。
通電には、周波数0.5Hz、強度500μA、30分
これを週5日、4週間行った。
その結果、
総面積は、7.77⇒2週後7.06⇒4週後1.45
深さは、2.5⇒2週後1.0⇒4週後0.2
と改善傾向を示した。
その後、肺炎を併発したため、治療は中止され、最終的な経過は不明となった。
今回の報告では記載がありませんでしたが、おそらく除圧やポジショニング、外用剤、ドレッシング材、栄養管理などが行われたうえでの鍼通電療法だと思います。
今回の報告のみで、褥瘡に鍼が効くとは言えませんが、現在までのところ、局所の血流改善を促す褥瘡管理は多くはありません(振動刺激装置や特定の外用剤ぐらいかと思います)。鍼による局所の血流改善効果は、補助的治療として有用だと思われます。