尿失禁に対する電気刺激療法
下部尿路機能障害に対する電気刺激療法.
Jpn J Rehabil Med. 2017; 54(8): 598-600.より
下部尿路機能障害は、大きく蓄尿障害と排尿障害に分類
下部尿路症状(LUTS)も上記分類に対応して、蓄尿症状と排尿症状に分類され、残尿感などは排尿後症状とされることもある
蓄尿症状~頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁(切迫性:過活動膀胱、腹圧性、混合性)など
電気刺激療法は、特に蓄尿症状の尿失禁に対する有効性を示す報告が多い。
その機序として、骨盤底筋群における筋収縮を改善するためと考えられている。この他、仙骨刺激では、仙髄求心路刺激が骨盤神経(副交感神経)の抑制反射、下腹神経(交感神経)の刺激による排尿筋の収縮抑制が考えられている。
電気刺激の刺激条件
骨盤底筋群刺激の場合
電気刺激による筋収縮は、同時に筋疲労にもつながる
50Hz以上では筋疲労が起こりやすいため、20-50Hz、Duration1-5msが最も有効とする報告がある。
また、刺激のon-offサイクルを設定することで、筋疲労は防げるため、刺激時間も20-30分行うことが可能となる。
排尿筋収縮抑制が目的
5Hz以下では刺激痛が出現するため10-20Hzが適している
耐えうる最大刺激で1日2回行うのが効果的
電気刺激療法の効果
骨盤底電気刺激療法では、治癒率30-50%、改善率60-70%
鍼灸での有効率と同じぐらいかな
しかし、仙骨刺激の場合は、埋め込み手術が必要なため、鍼灸以上に侵襲的となる。
また、骨盤底電気刺激では、肛門や膣などの部位に刺激を行うため、臀部からの鍼刺激を行える鍼灸の方が抵抗感は少ないのではないだろうか?