複数の所見による尤度比の使い方
本日は、尤度比の使い方について。
尤度比(likelihood ratio:LR)には、
確定に近づく陽性尤度比(LR+)
除外に近づく陰性尤度比(LR-)
があります。
単一の所見に対して、LRを用いる場合は、
事前確率に対してLRの数値を基に事後確率を導きます。
その方法には、近似値を用いた方法や、ノモグラムを使った方法、
事前オッズ×LR=事後オッズという方法などがあります。
私は基本的には近似値を臨床では使うことが多いです。
近似値は以下のような指標もあります。
LR10;確定診断的な所見
LR5;可能性はかなり上がる
LR2;病歴・身体所見としては可能性を上げる
LR1;可能性を変えない
LR0.5;病歴・身体所見としては可能性を下げる
LR0.2:可能性はかなり下がる
LR0.1;除外診断的な所見
ですが、実際の臨床現場では単一の所見では判断できないことが多く、特に否定に用いたいLR-の所見では複数の所見を用いることが多いと思います。
その場合、
LR-の数値の掛け合わせで考えることになります。
例えば、
LR-(A)×LR-(B)×LR-(C)=最終LR-
となります。
例えば上記の近似値の指標ではLR0.5は可能性を下げるとありますが、
0.5×0.5×0.2=0.05となり、
LR0.1;除外診断的な所見よりも低いLRとなります。
事後確率をどこまで下げるかべきか?という問題はありますが、
とりあえず複数の尤度比は、掛け合わせて用いるということを覚えていてもらえればと思います。