都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

腹水に対する聴性打診の精度

本日は、聴性打診

 

実は、私が身体所見の中で、一番好きな手技です。

なぜなら、鍼灸師でも行える身体所見の中でも、幅広く応用できるからです。

このブログの中でも、骨折などに関する聴性打診は紹介しています。

 

今回は、この聴性打診を使った腹水の検出精度について。

 

Chongtham DS, et al. A simple bedside manoeuvre to detect ascites. Natl Med J India. 1997 Jan-Feb;10(1):13-4.

腹水を検出するための簡単なベッドサイド検査

 

Chongtham DS, et al. Accuracy of clinical manoeuvres in detection of minimal ascites.  Indian J Med Sci. 1998 Nov;52(11):514-20.

少量の腹水に対する臨床手技の精度

 

腹水を検出する所見として、パドルサインがあり、比較した。

パドルサインは、古典的な方法であり、現在あまり使われることはないそうです。

 

パドルサイン:

患者は、伏臥位で5分間横になってもらう。

その後、四つん這いの姿勢をとってもらう。

聴診器を腹部の最も突出している所に設置し、脇腹(側腹部)軽くタッピングする。

徐々に聴診器を反対側の脇腹へ移動させると、水面になった瞬間に音が大きくなる。

(変法もありますので、この手順通りじゃなくても大丈夫です)

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聴性打診の方法:

排尿後、3分間立位と座位を繰り返し、体液が骨盤に近づくようにする。

聴診器を恥骨結合の上に設置。

正中線・両サイドを下降するように打診する。

水平ラインでは音が大きくなる。

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その結果、

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パドルサイン

感度;45.7%、特異度67.7%、LR+1.4、LR-0.8

聴性打診

感度;65.7%、特異度48.4%、LR+1.3、LR-0.7

だった。

 

両者ともに単独では、事後確率を変動させるほどではない。

 

腹水には、他の身体所見を使った方が良さそうです。

例えば、Fluid wave

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この検査では、患者さんの協力、もしくは2人の人員が必要ですが、もっとも精度が高い身体所見とされています(感度62%、特異度90%、LR+5.2、LR-0.6)。

この他にも、Flank Dullness、Sitting dullnessなどの方法も有用とされています。

 

自分にあった方法を練習しておくといいかもしれません。