腹水に対する聴性打診の精度
本日は、聴性打診。
実は、私が身体所見の中で、一番好きな手技です。
なぜなら、鍼灸師でも行える身体所見の中でも、幅広く応用できるからです。
このブログの中でも、骨折などに関する聴性打診は紹介しています。
今回は、この聴性打診を使った腹水の検出精度について。
Chongtham DS, et al. A simple bedside manoeuvre to detect ascites. Natl Med J India. 1997 Jan-Feb;10(1):13-4.
腹水を検出するための簡単なベッドサイド検査
Chongtham DS, et al. Accuracy of clinical manoeuvres in detection of minimal ascites. Indian J Med Sci. 1998 Nov;52(11):514-20.
少量の腹水に対する臨床手技の精度
腹水を検出する所見として、パドルサインがあり、比較した。
パドルサインは、古典的な方法であり、現在あまり使われることはないそうです。
パドルサイン:
患者は、伏臥位で5分間横になってもらう。
その後、四つん這いの姿勢をとってもらう。
聴診器を腹部の最も突出している所に設置し、脇腹(側腹部)軽くタッピングする。
徐々に聴診器を反対側の脇腹へ移動させると、水面になった瞬間に音が大きくなる。
(変法もありますので、この手順通りじゃなくても大丈夫です)
聴性打診の方法:
排尿後、3分間立位と座位を繰り返し、体液が骨盤に近づくようにする。
聴診器を恥骨結合の上に設置。
正中線・両サイドを下降するように打診する。
水平ラインでは音が大きくなる。
その結果、
パドルサイン
感度;45.7%、特異度67.7%、LR+1.4、LR-0.8
聴性打診
感度;65.7%、特異度48.4%、LR+1.3、LR-0.7
だった。
両者ともに単独では、事後確率を変動させるほどではない。
腹水には、他の身体所見を使った方が良さそうです。
例えば、Fluid wave
この検査では、患者さんの協力、もしくは2人の人員が必要ですが、もっとも精度が高い身体所見とされています(感度62%、特異度90%、LR+5.2、LR-0.6)。
この他にも、Flank Dullness、Sitting dullnessなどの方法も有用とされています。
自分にあった方法を練習しておくといいかもしれません。