日本における変形性関節症の有病率
本日は、日本人の変形性関節症の有病率に関する報告。
Yoshimura N, et al. Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study. J Bone Miner Metab. 2009;27(2):620-8.
変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は、中高年者におけるcommmon diseaseの1つ。
今回の報告は、Resarch on Osteoarthritis Against Disability (ROAD) studyと呼ばれるもので、都市部・山岳部・沿岸部の3箇所でのコホート研究をまとめたもの。
それぞれの地域や年齢別での、変形性膝関節症、変形性腰椎症、骨粗鬆症の有病率を調査。
対象は、日本人男性1061名と女性1979名の計3040名。
その結果、
日本人の推定有病者数は、
変形性膝関節症;2530万人(人口の21%)
変形性腰椎症;3790万人(人口の31%)
と見込まれた。
地域差は、沿岸部では低い傾向にあるよう。
男女差は女性の方が、膝関節症が多く、腰椎症は男性に多い。
80歳以上の変形性膝関節症だと男性は50%以上、女性だと80%を超える有病率。
今回の疫学結果に解釈では、1点の注意が必要。
診断基準がX線所見による異常としていること。
これは、画像上の異常があれば、無症状でも異常ありとされてしまうことにあります。
反対に、膝痛を訴えても、画像では正常の場合は含まれない。
ということを踏まえたうえで解釈することが必要です。
今回の推定有病者数から、保存的治療が求められる方はどれくらい?外科的治療が必要な方は?
診断基準におけるグレード別などもあればなお参考になったかもしれません。