都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

日本における変形性関節症の有病率

本日は、日本人の変形性関節症の有病率に関する報告。

 

Yoshimura N, et al. Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study. J Bone Miner Metab. 2009;27(2):620-8.

 

変形性関節症(Osteoarthritis:OA)は、中高年者におけるcommmon diseaseの1つ。

 

今回の報告は、Resarch on Osteoarthritis Against Disability (ROAD) studyと呼ばれるもので、都市部・山岳部・沿岸部の3箇所でのコホート研究をまとめたもの。

それぞれの地域や年齢別での、変形性膝関節症、変形性腰椎症、骨粗鬆症の有病率を調査。

figure 1

 

 

対象は、日本人男性1061名と女性1979名の計3040名。

Table 1 Age–sex distribution and mean values (standard deviation) of selected characteristics of the participants

 

その結果、

日本人の推定有病者数は、

変形性膝関節症;2530万人(人口の21%)

変形性腰椎症;3790万人(人口の31%)

と見込まれた。

 

地域差は、沿岸部では低い傾向にあるよう。

男女差は女性の方が、膝関節症が多く、腰椎症は男性に多い。

80歳以上の変形性膝関節症だと男性は50%以上、女性だと80%を超える有病率。

Table 2 Prevalence (%) of knee osteoarthritis and lumbar spondylosis classified by age, gender, and region

Table 4 Prevalence (%) of osteoporosis according to the JSBMR criteria, classified by age, gender, and region

 

 

今回の疫学結果に解釈では、1点の注意が必要。

診断基準がX線所見による異常としていること。

これは、画像上の異常があれば、無症状でも異常ありとされてしまうことにあります。

反対に、膝痛を訴えても、画像では正常の場合は含まれない。

ということを踏まえたうえで解釈することが必要です。

 

今回の推定有病者数から、保存的治療が求められる方はどれくらい?外科的治療が必要な方は?

 

診断基準におけるグレード別などもあればなお参考になったかもしれません。