変形性関節症に対する関節注射は有効か?
本日は、先日変形性膝関節症に対するステロイド関節注射を行っているが、効果がないという患者さんが来られました。
最近の情報を調べてなかったので、
まずは、
川口浩.変形性関節症治療の国内外のガイドライン.日関病誌.2016;35(1):1-9.
日本における変形性膝関節症患者の有病者数:約2530万人
有症状患者数:約800万人と推定。
国内外のガイドラインを比べる
それぞれのガイドラインの項目には、作成委員会の支持率(SOR)や推奨度(A・B・C・D・I)といったもので表されている。
非薬物療法は、経皮的電気刺激療法(TENS)以外は比較的国内外のガイドラインは同じ。
TENSは日本の評価は少し低い傾向にあるようです。これは、報告数が少ないことや実施率が低いことも関係しているのだと思います(私見)。
薬物療法では、
ステロイド関節注射・ヒアルロン酸関節注射・グルコサミンやコンドロイチン投与は海外と乖離がある。
ステロイド関節注射が日本で推奨が低いのは、診療実態が異なるためとされているが、どういうことなのでしょうか?
海外ではステロイド注射はそれなりに有効だと考えられているようです。
しかし、下記のような報告もみつけました。
McAlindon TE, et al. Effect of intra-articular triamcinolone vs saline on knee cartilage volume and pain in patients with knee osteoarthritis: A randomized clinical trial. JAMA.2017 May 16;317(19):1967-1975.
変形性膝関節症患者445名の対象者を、トリアムシノロン(副腎ホルモン)の関節内注射を行う群と生理的食塩水を注射する群に無作為に割り付け、2年間の評価。
投与は、3か月おきに行い、1年ごとにMRI評価を行った。
患者背景;
BMIは平均30オーバーなんですね。少し日本人とは異なるかもしれませんが。
自覚的疼痛は、中等度~軽度の痛みといったところでしょうか。
MRIによる変形性膝関節症の比較;
軟骨の損傷やは生理食塩水と比べて2年後に有意に強く・軟骨も薄くなるとのこと。
また関節変形の程度には変化なし。
疼痛評価など;
痛みは2年後には、生理食塩水と変わらない。しかし、月ごとの比較では、開始3か月後に低下幅が最も大きい傾向にあるので、短期的にはいいのかもしれません。でも、同時期の他の評価が2群で変わりがないようなので、どの程度の鎮痛効果が得られるかは微妙なところ。
また、2年後には軟骨が薄くなったりするようなので、長期間のステロイド注射は避けるべき?
投薬量を変えれば大丈夫なのだろうか?
もう少し調べないといけませんね。