関節炎を起こす疾患の特徴
本日は、関節炎を起こす疾患について.
Kataria RK、et al. Spondyloarthropathies.Am Fam Physician. 2004 Jun 15;69(12):2853-60.
Gladman DD1, et al. Psoriatic arthritis: epidemiology, clinical features, course, and outcome.Ann Rheum Dis. 2005 Mar;64 Suppl 2:ii14-7.
関節炎では、急性の単関節炎・急性の多関節炎・慢性の単関節炎・慢性の多関節炎の4つに分けて考える。
これらの主な原因は、感染症・自己免疫疾患・膠原病・結晶誘発性関節炎・脊椎関節炎。
急性単関節炎の原因で最も多いのは、結晶誘発性関節炎(痛風・偽痛風)。見逃しが怖いのが化膿性関節炎。
急性多関節炎の多くは、ウイルス性関節炎。ときどき、急性の単関節炎から多関節炎に移行することもある(化膿性関節炎の15%は多関節炎となる)ので、経過は重要。
慢性になると、感染症の可能性よりも、膠原病や脊椎関節炎の可能性が上がる。
5つ以上の関節に及んでいると、関節リウマチ・強皮症・混合性結合組織病を考える。
このうち、関節リウマチの頻度が最も高い。
今回は、脊椎関節炎と関節リウマチの違いを下記に表にしてみました。
上記2編の論文を統合して表にして掲載
強直性脊椎炎・反応性関節炎・乾癬性関節炎・炎症性腸疾患・関節リウマチ(RA)に伴う関節炎の比較;2つの文献をまとめて表にして掲載
性差;関節リウマチは女性に多いが、脊椎関節炎はやや男性に多い。
炎症性腸疾患に伴う関節炎以外の脊椎関越炎は、腱付着部炎を併発する頻度が高い。しかし関節リウマチでは稀。
同様に目の病変も関節リウマチではなし。
リウマチ因子の陽性率は、関節リウマチでも80%ぐらい。乾癬性関節炎でも13%は陽性になる。
特徴 | 強直性脊椎炎 | 反応性関節炎(ライター症候群を含む) | 乾癬性関節炎 | IBD関連脊椎関節症 RA | ||
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有病率 |
0.1~0.2% |
0.1% |
0.2~0.4% |
まれ |
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発症年齢 |
10代後半~成人初期 |
10代後半~成人初期 |
35~45歳 |
全年齢 全年(40代ピク) |
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男女比 |
3:1 |
5:1 |
1:1 |
1:1 女性に多い |
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HLA-B27 |
90~95% |
80% |
40% |
30% |
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仙腸関節炎 |
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頻度 |
100% |
40~60% |
40% |
20% なし |
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分布 |
対称 |
非対称 |
非対称 |
対称 対称 |
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|
|
|
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|||
末梢関節炎 |
||||||
頻度 |
低い |
高い |
高い(特にDIP関節) |
高い 特に高い |
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分布 |
非対称な下肢 |
非対称な下肢 |
非対称 |
非対称な下肢 対称性 |
||
腱付着部炎 |
高い |
特に高い |
特に高い |
低い 稀 |
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|
||||||
皮膚病変 |
なし |
膿漏性角化症・連環状亀頭炎 |
尋常性乾癬・膿疱性乾癬 |
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眼の状態 |
急性ブドウ膜炎 |
急性ブドウ膜炎、結膜炎 |
慢性ブドウ膜炎 |
慢性ブドウ膜炎・上強膜炎 |
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反応性関節炎(ライター病)の膿漏性角化症
乾癬性関節炎
今回は慢性の関節炎について、2つの報告からまとめてみましたが、そのうち別の関節炎についてもまとめてみようと思います。