都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

関節炎を起こす疾患の特徴

本日は、関節炎を起こす疾患について.

 

Kataria RK、et al. Spondyloarthropathies. 2004 Jun 15;69(12):2853-60. 

Gladman DD1, et al. Psoriatic arthritis: epidemiology, clinical features, course, and outcome. 2005 Mar;64 Suppl 2:ii14-7.

 

関節炎では、急性の単関節炎・急性の多関節炎・慢性の単関節炎・慢性の多関節炎の4つに分けて考える。

これらの主な原因は、感染症・自己免疫疾患・膠原病・結晶誘発性関節炎・脊椎関節炎。

 

急性単関節炎の原因で最も多いのは、結晶誘発性関節炎(痛風・偽痛風)。見逃しが怖いのが化膿性関節炎。

 

急性多関節炎の多くは、ウイルス性関節炎。ときどき、急性の単関節炎から多関節炎に移行することもある(化膿性関節炎の15%は多関節炎となる)ので、経過は重要。

 

慢性になると、感染症の可能性よりも、膠原病や脊椎関節炎の可能性が上がる。

5つ以上の関節に及んでいると、関節リウマチ・強皮症・混合性結合組織病を考える。

このうち、関節リウマチの頻度が最も高い。

 

今回は、脊椎関節炎と関節リウマチの違いを下記に表にしてみました。

上記2編の論文を統合して表にして掲載

 

強直性脊椎炎・反応性関節炎・乾癬性関節炎・炎症性腸疾患・関節リウマチ(RA)に伴う関節炎の比較;2つの文献をまとめて表にして掲載

 

性差;関節リウマチは女性に多いが、脊椎関節炎はやや男性に多い。

炎症性腸疾患に伴う関節炎以外の脊椎関越炎は、腱付着部炎を併発する頻度が高い。しかし関節リウマチでは稀。

同様に目の病変も関節リウマチではなし。

リウマチ因子の陽性率は、関節リウマチでも80%ぐらい。乾癬性関節炎でも13%は陽性になる。

 

特徴 強直性脊椎炎 反応性関節炎(ライター症候群を含む) 乾癬性関節炎 IBD関連脊椎関節症 RA

有病率

0.1~0.2%

0.1%

0.2~0.4%

まれ        

発症年齢

10代後半~成人初期

10代後半~成人初期

35~45歳

全年齢   全年(40代ピク)  

男女比

3:1

5:1

1:1

1:1    女性に多い

HLA-B27

90~95%

80%

40%

30%

仙腸関節

 

頻度

100%

40~60%

40%

20%     なし

 

分布

対称

非対称

非対称

対称     対称

 

 

 

 

 

末梢関節炎

 

頻度

低い

高い

高い(特にDIP関節)

高い     特に高い

 

分布

非対称な下肢

非対称な下肢

非対称

非対称な下肢  対称性

腱付着部炎

高い

特に高い

特に高い

低い       稀

 

 

皮膚病変

なし

膿漏性角化症・連環状亀頭炎

尋常性乾癬・膿疱性乾癬

結節性紅斑(クローン病)、   壊疽性膿皮症(潰瘍性大腸炎)

   

眼の状態

急性ブドウ膜炎

急性ブドウ膜炎、結膜炎

慢性ブドウ膜炎

慢性ブドウ膜炎・上強膜炎

 
 


反応性関節炎(ライター病)の膿漏性角化症

 

乾癬性関節炎

 

今回は慢性の関節炎について、2つの報告からまとめてみましたが、そのうち別の関節炎についてもまとめてみようと思います。