都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

大腰筋の解剖

本日は、大腰筋の解剖的位置について。

 

杉本真由、他.大腰筋の解剖学的位置の検討.日本ペインクリニック学会誌.2020;27(1):43-47.

 

大腰筋筋溝ブロック(ランドマーク法(23ゲージ60 mmカテラン針を使用し患者腹臥位にて第4~5腰椎レベルで,棘突起から外側約45 mmで穿刺し,体表から約60 mmの深さで抵抗をみながら0.5%メピバカインを5 ml注入))における大腰筋の解剖学的位置の検討。

 

対象は、最終的に100名の患者で、第4腰椎(L4)レベルでの大腰筋の位置をMRIで検討。

評価項目は、

棘突起正中から外側40 mmの体表から大腰筋膜の垂直距離(深さ),

棘突起正中から大腰筋外縁までの距離。

副次評価項目として合併症の発生率,腎臓下縁の腰椎の高さ,大腰筋の解剖学的位置と患者背景との関連性を調査した。

 

その結果、

患者背景;

表1 患者背景

  男性 女性
性別(名) 36 64
年齢(歳) 64.0±15.6[29‐92] 68.5±13.3[39‐89]
身長(cm) 165.8±6.9 [152‐180] 151.9±7.9 [134‐175]
体重(kg) 65.5±14.3[39.0‐111.0] 53.2±11.4[30.2‐90.3]

 

 

 

 

左右の腎臓下縁の位置;

 

以上から、

棘突起正中から外側40 mmの体表から大腰筋膜の垂直距離(深さ);約63mm

棘突起正中から大腰筋外縁までの距離;約男性63mm、女性53mm

合併症の発生率;なし

腎臓下縁の腰椎の高さ;L3下縁よりも頭側にあることが多い

大腰筋の解剖学的位置と患者背景との関連性;体重が大きいほど大腰筋は深く,女性よりも男性で大腰筋が正中より外側に位置する

ということであった。

 

L4レベルからの鍼の刺入は、体重や性別で差があり、約60mmの深さは必要だが、比較的安全に行うことが可能と思われます。