本日は、大腰筋の解剖的位置について。
杉本真由、他.大腰筋の解剖学的位置の検討.日本ペインクリニック学会誌.2020;27(1):43-47.
大腰筋筋溝ブロック(ランドマーク法(23ゲージ60 mmカテラン針を使用し患者腹臥位にて第4~5腰椎レベルで,棘突起から外側約45 mmで穿刺し,体表から約60 mmの深さで抵抗をみながら0.5%メピバカインを5 ml注入))における大腰筋の解剖学的位置の検討。
対象は、最終的に100名の患者で、第4腰椎(L4)レベルでの大腰筋の位置をMRIで検討。
評価項目は、
①棘突起正中から外側40 mmの体表から大腰筋膜の垂直距離(深さ),
②棘突起正中から大腰筋外縁までの距離。
副次評価項目として合併症の発生率,腎臓下縁の腰椎の高さ,大腰筋の解剖学的位置と患者背景との関連性を調査した。

その結果、
患者背景;
表1 患者背景
| |
男性 |
女性 |
| 性別(名) |
36 |
64 |
| 年齢(歳) |
64.0±15.6[29‐92] |
68.5±13.3[39‐89] |
| 身長(cm) |
165.8±6.9 [152‐180] |
151.9±7.9 [134‐175] |
| 体重(kg) |
65.5±14.3[39.0‐111.0] |
53.2±11.4[30.2‐90.3] |


左右の腎臓下縁の位置;

以上から、
①棘突起正中から外側40 mmの体表から大腰筋膜の垂直距離(深さ);約63mm
②棘突起正中から大腰筋外縁までの距離;約男性63mm、女性53mm
合併症の発生率;なし
腎臓下縁の腰椎の高さ;L3下縁よりも頭側にあることが多い
大腰筋の解剖学的位置と患者背景との関連性;体重が大きいほど大腰筋は深く,女性よりも男性で大腰筋が正中より外側に位置する
ということであった。
L4レベルからの鍼の刺入は、体重や性別で差があり、約60mmの深さは必要だが、比較的安全に行うことが可能と思われます。