外国語様アクセント症候群について
本日は、先日放送された「トップナイフ」で出てきた、外国語様アクセント症候群について。
東山雄一、他.Foreign accent syndoromeについて.神経心理学.2018;34(1):45-62.
外国語様アクセント症候群(Foreign accent syndrome:FAS)
発話障害の一種で、第三者が聞くと外国語のようだと感じる。
これまでに100例ほどが報告されているが、原因疾患や脳損傷部位なども様々で、まだ不明な点も多い。
日本人のFASでは、英語アクセント型と中国・韓国アクセント型の2パターンが多い。
ちなみに、番組では大阪アクセント型でした。
症例;
60歳、女性。主訴は言葉が上手く話せない。
ある日、心原性脳塞栓症により、左片麻痺・失語・失行を認めた。その後FASに気づく。
過去の報告を集めてみると、左半球が多い傾向だが、右半球もある。
全部で88例あり、平均年齢51.0±12.6歳。
原因疾患;脳卒中が最多(本文をグラフ化して掲載)
脳病変部位;
左大脳病変で76.1%
中心前回・弁蓋部・基底核・皮質下・右半球・脳幹・小脳
で報告。
日本からのFAS報告;似た感じとなっている
FASの機序は、不明な点があるが、現在は発語失行(apraxia speech:AOS)の亜型と考えられている。
報告例から、PureFAS症例のMRIデータなどをピックアップした25例を重ね合わせた結果、
左中心前回がやはり多いが、その他もある。
中心前回下部は、舌や口唇の動き(構音)と関与する。
中心前回中部は、喉頭の動きと関与する。
こうしたことから、この部位の損傷は構音障害を起こしやすくなり、この部位の関与があることが示唆されるが、まだまだ検討課題を残したもの。
外国語様アクセント症候群は非常にまれな症状です。
同様に番組内では、コタール症候群も出てきましたが、こちらも稀。
私は長年神経系疾患の患者さんをみていますが、どちらも未経験です。
面白かったです。