都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

にきび(痤瘡)について

本日は、ニキビについてです。

 

尋常性痤瘡・アクネなどとも呼ばれます。

 

林伸和.ニキビの発症メカニズム、治療、予防.日香粧会誌.2016;40(1):12-19.

 

ニキビは90%以上の人が経験する一般的な皮膚疾患。

毛包脂腺系の慢性炎症性疾患の位置づけ。

思春期の男女あるいは思春期後の女性に多く、思春期後痤瘡は難治性を示しやすい。

また、13歳頃から発症し、高校生で症状が強くなり、大学生で治まってくる慢性疾患で、5-6年の経過が必要。

治癒後はケロイド・肥厚性瘢痕、萎縮性瘢痕という後遺症が20代女性の60%痤瘡受診者の90%に残るという報告もある。

 

スキンケアに関する情報(テレビやインターネット)から、保湿がいいと思い、脂性肌の思春期の痤瘡患者でも保湿が一律に行われる状況にある。

肌質に合わせたスキンケアの啓蒙、食事指導、根拠のある治療が必要。

 

にきびの発症メカニズムと臨床症状

尋常性痤瘡は、面皰(めんぽう)、紅色丘疹、膿疱、嚢腫、硬結、萎縮性瘢痕、肥厚性瘢痕、ケロイド、炎症後紅斑、炎症後色素沈着などの皮疹からなるが、最初は面皰から。

 

面皰は、毛包漏斗の開口部が閉じて臨床的に白い膨らみに見える閉鎖面皰(白色面皰)と開口部が開いて先端が黒く見える開放面皰(黒色面皰)がある(黒色はメラニンの色)。

目立つのは、炎症性皮疹だが(患者さんの訴え)、多数の面皰を伴う。

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 毛包漏斗部に角化異常の開閉障害⇒皮脂が毛包内に貯留⇒面皰

毛包内で痤瘡菌(アクネ菌)が増殖⇒炎症⇒紅色丘疹・膿疱などの炎症性皮疹

炎症の悪化⇒嚢腫・硬結に進展

炎症軽快⇒炎症後紅斑・炎症後色素沈着⇒治癒もしくは、萎縮性瘢痕・肥大性瘢痕・ケロイドなど

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ニキビに対する薬物治療の中で、エビデンスレベルの高いのは、

アダパレン・過酸化ベンゾイル・外用抗菌薬・内服抗菌薬の単体もしくは複合

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ニキビの治療は急性炎症期では、集約的治療で早期改善(アダパレン・過酸化ベンゾイル・抗菌薬)を目的に行うが、維持期では耐性菌の回避など(アダパレン・過酸化ベンゾイル)の安全性を優先。

 

スキンケア

洗顔~ニキビのある患者さんに洗顔はあまり意味がない(ニキビのある人も元々きちんと洗顔をしているため、洗顔アクネ菌の数は変わらない)。洗顔の目的は、余分な皮脂を取り除き、皮膚を清潔に保つことで、継続(洗顔料を使って1日1回・2回・4回を比較して、2回が適切だったとする報告あり)して行うように指導する。また、オイルクレンジング(適切なクレンジング剤ってどんなもの?)は悪化要因にはならない。

 

保湿~乾燥肌や混合肌の方は保湿が必要(脂性肌では必要ない)。またアダパレンなどの副作用として、塗布部位の乾燥が起こることがあるので、その予防としての保湿。

ニキビのある患者さんは、セラミド量の減少・経表皮水分蒸散量の増加・保水量の減少があるが、保湿することでニキビが改善するというエビデンスはない。

 

食事の影響

ニキビの悪化要因の食事~チョコレート・糖質・ミルクなどが考えられているが、結論はでていない。またこれらを制限することでニキビが改善するわけではないことに注意。

 

化粧品

ケミカルピーリングとアゼライン酸を含む化粧品があるが、保険適用の薬品に勝る効果はなし。保険適用を補完する位置づけとされている。

また昔は、化粧品で生じるcosmetic acneが問題視されていたが、現在は適切なメイクアップであれば治療の妨げにはならないし、QOLも向上していい。

眼瞼や口唇にはニキビはできないから、アイメイクやリップメイクを制限する必要はなし。

皮疹を塗り隠すのではなく、補色を使って目立たなくする方法や化粧品を使う。

 

この報告は2016年のレビューであり、現在はまた少し変わっている所もあるかもしれません。そのうち最新情報を探してみたいと思いますが、食事指導やメイク指導までをレビューしているので、患者さんの指導にも使えると思います。