顔面神経麻痺後遺症に対する鍼の臨床経験の報告
ワニの涙症候に対する針の効果.
日東医誌. 2012;63(5): 322-4.
ワニの涙症候には、先天性のDuane症候群によるもの、後天的には顔面神経麻痺の後遺症がある
先天性では、脳幹内の神経線維のMisdirectionが機序
顔面神経麻痺後遺症では、末梢神経再生時の唾液腺枝と涙腺枝Misdirectionが機序
治療法
顔面神経のブロック注射、涙腺へのボツリヌス注射がある
症例では、ラムゼイハント症候群と診断され、ステロイド点滴を受け改善傾向を示したが、右目の眼裂狭小化などが出現した。
右の聴宮穴、太陽穴、和髎穴に置鍼治療を行った
1回の治療で後遺症症状が改善したとのことであった。
末梢性顔面神経麻痺後のMisdirectionは、
1)唾液腺枝が再生時に誤って涙腺枝と連絡してしまう、同時に咀嚼筋支配の顔面神経枝が眼輪筋枝に連絡してしまう
2)神経線維間の細胞膜の再生不全により、隣接する神経も興奮してしまう
と考えられているようだ
今回の鍼の効果は、2)の方に作用したのではないか?と考察
科学的な証明は確かに必要だ。
でも、鍼灸に限らず、時々こうした報告は可能性を広げる話として面白いと思う