都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

間欠性跛行の所見

The reliability of differentiating neurogenic claudication from vascular claudication based on symptomatic presentation.

Can J Surg.2013 Dec;56(6):372-377.より

血管性間欠性跛行と神経性間欠性跛行の鑑別

 

間欠性跛行は、大きく神経性と血管性に分類して考えられる。

神経性間欠性跛行は、腰部脊柱管狭窄症(LSS)

血管性間欠性跛行は、末梢動脈疾患(PAD)

で発生しやすい。

 

53例の間欠性跛行を示す患者を対象に、その症状から神経性か血管性かを判別し、臨床的な病歴や身体所見の診断特性を算出した。

この表を、日本語に訳して、表にすると、

こんな感じになる。

 

Shoping cart signとは、買い物かごを押すと、少し前傾姿勢になり、痛みが緩和すること。

 

https://mobile.twitter.com/alaamri14121/status/888253615533465602

より掲載

 

より重症の場合は、手を付かず、肘を置くような姿勢になる。

↓こんなイメージ画像のようになる。

https://www.discspine.com/back-stories/shopping-cart-sign-spinal-stenosis/より掲載

 

その結果、

神経性間欠性跛行は、

立位で発生し、座位で寛解し、膝から上に症状があると確定的

立位で発生せず、座位で寛解しない、膝から上に症状がない場合、ショッピングカートサインがない場合に否定的

血管性間欠性跛行は、

立位で寛解し、下腿部まで広がる症状ならば確定的

立位で寛解せず、下腿部に症状がなく、歩行で誘発されない、発症の予測ができない場合否定的

といった感じになる。

症状や再び歩けるようになるまでの時間などは鑑別の参考にはならない(聞かなくて言いわけではない)。95%信頼区間の幅が大きすぎて、患者さんによっては確率を変動させるのだろうが、それが誰なのかは分からないから症状だけで判断するのは危うい。

 

同様の理由で、血管性間欠性跛行の発症予測も人によっては確率を下げない可能性があることに注意が必要だ。

 

この他にも考えられる身体所見として、ロンベルグ徴候がある。

これは神経性間欠性跛行の場合、陽性所見となるが、その場合LSS以外の脊髄疾患の可能性もあるため、それを踏まえて用いることになる。

 

間欠性跛行は、どういう状況で症状が再現されるか、もしくは寛解するのかといった状況を聞くことが最もよい病歴になるだろう。