Baker嚢腫による腓骨神経麻痺
腓骨神経麻痺を呈した膝窩嚢腫の1例
症例;50歳、男性
誘因なく、左下腿の腫脹と左足関節の背屈不可
診察時に左膝窩部に腫脹、左腓骨神経領域の知覚鈍麻・前脛骨筋と長母趾伸筋の筋力低下を認めた。
Baker嚢腫による腓骨神経麻痺とされた。
Baker嚢腫の多くは、腓腹筋-半膜様筋滑液包が、変形性関節症や関節リウマチなどの合併で起こる。
通常は無症状だが、外側へ腫大すると膝窩動脈の圧迫から下肢の痺れや跛行、膝窩静脈の圧迫から下肢の腫脹やしびれ、脛骨神経の圧迫による下腿の痺れが出現することがある。
さらに外側へ腫大すると腓骨神経障害が加わる。
そのため、脛骨神経症状を伴わない腓骨神経症状は極めてまれ(過去に数例の報告があるよう)。
この場合、神経障害を起こしている嚢腫を取り除くことが必要となるとのこと。