食事と美容・認知の関係;動物研究
都築毅.健康維持に有効な日本食とは.日本食生活学会誌.2019;30(2):71-78.
各年代の1週間当たりの食事内容を調査し、同様の内容をマウスに摂取させ、
外見の老化度や認知機能などを調査した。
各年代の食事内容;
1960年は炭水化物が多く、タンパク質や野菜が少ない傾向
2005年は、炭水化物が少なく、野菜がやや多い傾向
1960年 | 1975年 | 1990年 | 2005年 | |
穀類 | 496 | 382 | 295 | 262 |
いもおよびでん粉類 | 65 | 67 | 70 | 63 |
砂糖および甘味類 | 12 | 15 | 5 | 4 |
豆類 | 44 | 72 | 66 | 55 |
種美類 | 0.9 | 0.4 | 2.1 | 1.6 |
野菜類 | 179 | 238 | 254 | 278 |
果実類 | 66 | 194 | 130 | 129 |
きのこ類 | 4 | 9 | 13 | 17 |
藻類 | 10 | 13 | 4 | 1 |
魚介類 | 77 | 92 | 89 | 83 |
肉類 | 19 | 61 | 71 | 74 |
卵類 | 19 | 43 | 39 | 36 |
乳類 | 27 | 103 | 128 | 124 |
油脂類 | 3 | 9 | 13 | 15 |
嗜好飲料類 | 9 | 11 | 18 | 15 |
調味料および香辛料類 | 29 | 43 | 37 | 33 |
これをPFCバランスに換算すると、
タンパク質(P);13-20%、脂質(F);20-30%、炭水化物(C);50-65%
の範囲であった。
年代別では、
2005年;P16.1%、F25.8%、C58.1%
1990年;P16.9%、F21.4%、C61.7%
1975年;P15.1%、F17.1%、C67.7%
1960年;P12.2%、F9.8%、C77.9%
エネルギー(Kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) | |
2005年 | 436 | 17.6 | 12.5 | 63.3 |
1990年 | 413 | 17.5 | 9.8 | 63.7 |
1975年 | 411 | 15.5 | 7.8 | 69.6 |
1960年 | 394 | 12 | 4.3 | 76.7 |
これらをマウスに摂取させ観察すると、
24週齢では各群に有意差はなかったが、48週では1975年に比べ2005年や1960年は外見の老化が進んでいた。
また認知機能についても、48週には、2005年と1960年に比べ、1975年の食事は認知機能の低下が軽減されていた。
寿命も1975年が最も長かった。
2005年の食事と比べ、1975年の食事は、老化を遅らせる何かがあるということは分かったそう。
その何かは、PFCバランスのみでは説明できず(1960年以外のPFCバランスにそこまで大きな差はないため)、摂取成分の違いが考えられる。
例えば1975年のタンパク質として、魚や大豆の摂取は他の年代と比べて多い傾向にあり、ミネラルとして藻類も1975年が最も多かった。他の年代と比べ、どの食材も過不足なく摂取できているようにも見えます。