のどが詰まる感じをGlobusと呼びます。
こうした訴えでは、どんな疾患が想定されるでしょうか?
のどのつまる病気;
2012 May 28;18(20):2462-71.
異常な上部食道括約筋機能
食道運動障害(アカラシア・強皮症など)
上部気道や消化器の悪性腫瘍
舌根の肥大
異所性胃粘膜
咽喉頭異常感症(Globus Pnaryngeus):ヒステリー球
がある。
しかし、過去は心因的な要因で、のどのつまりや異物感・イガイガなどの訴えが起こると考えられていたが、現在は
心因性だけではないことが指摘されているので、ヒステリー球という表現は適切ではないかもしれません。
また、
嚥下の異常や嗄声などは生じないため、これらの症状がある場合は咽
喉頭異常感症の可能性は下がることにも注意。
咽
喉頭異常感症の有病率は約4%(Arch Otolaryngol
. 1982 Nov;108(11):740-4.
)。
好発年齢は、30-40歳代の女性(男性33%vs女性67%)に多い(
耳鼻咽喉科臨床.1979;72(11):1499-1506.)。
119例の咽
喉頭異常感症患者には、原因不明が7.6%で、その他は
甲状腺異常(32.8%)、慢性咽
喉頭炎(20.2%)、慢性
副鼻腔炎(14.3%)などが併存していた。しかしこれらの疾患が咽
喉頭異常感症の原因疾患とは断定できないとしている(
耳鼻咽喉科臨床.1979;72(11):1499-1506.)。
自然経過;
咽
喉頭異常感症患者74例を平均7年7か月(7年~8年10ヶ月)追跡し、自然経過を調査した結果、55%は無症状に、45%は症状が持続したとしている(Laryngosecope.
1995 Oct;105(10):1118-21.)
。
80例の追跡(平均27ヶ月;21~42ヶ月)の結果、無症状になったのは25%、改善傾向を示した35%だった(Ann Otol Rhinol Laryngol
. 1991 May;100(5 Pt 1):351-4.
)。
治療法;
画一的かつ有効な治療法はこれといってなく、
逆流性食道炎の治療や
漢方薬などが効いたとする報告はあるが、症例報告だったりで、
エビデンスには乏しい。
咽
喉頭異常感症患者では、
咽頭粘膜の血流が健常者と比べて有意に低下していることが報告されている(口咽科. 1990;3(1):38.)。
咽頭粘膜の血流は、舌咽・迷走神経および上頚神経節からの
咽頭枝が吻合してできる
咽頭神経叢を介して支配される(
.
1954 Aug;68(8):495-516.
)。
そのため、星状神経節や迷走神経刺激が症状緩和に有用かもしれないと考えています。