リンパの流れ
本日は、リンパの流れについて。
リンパの流れを解剖学的に把握しておくことはリンパ節腫脹などに遭遇した際に重要です。
Ferrer R. Lymphadenopathy: differential diagnosis and evaluation. Am Fam Physician. 1998; 58(6): 1313-1320.
Bazemore AW, et al. Lymphadenopathy and malignancy. Am Fam Physician. 2002 Dec 1; 66(11):2103-2111.
人の体には、血管とリンパ管が全身に広がっています。
リンパ管の至る所に0.2~3cmのリンパ節が点在しており、全身で600個程度あるとされています。
場所により、異常となるリンパ節の大きさは変わります。
リンパ節には、ナイーブB細胞やナイーブT細胞が存在していて、
樹状細胞が読み取った抗原情報がリンパ節に届くと、ナイーブB細胞が成熟・増殖し形質細胞へと成り、抗体を産生します。
ナイーブT細胞も抗原情報から活性化して活動します。
これらにより、リンパ節では、抗原情報の提示があるとリンパ球を増殖させ、抗体反応を示す場所となります。
そのため、リンパ節は腫れてきます。
感染症や膠原病、自己免疫疾患、悪性腫瘍などでこうした反応が起きます。
リンパ節は、下記のような割合で分布しています。
頭頚部リンパ節が約600個のうち、55%を占め、次いで鼠径部が14%となっています。
頭頚部リンパ節の流れ;
Preauricular nodes;耳前リンパ節~耳下腺と間違えやすい。頭部からの流れ
Submandibular nodes;顎下リンパ節~顎下腺と間違えやすい。口腔内からの流れ
Anterior cervical nodes;前頸部リンパ節~局所(口腔、喉頭、甲状腺)>全身性
Poseterior cervical nodes;後頚部リンパ節~局所<全身性(頭頚部や上胸部)
Supraclavicular nodes;鎖骨上リンパ節~深頚部リンパ節に属す。右側(右胸郭、上肢、頚部)、左側(左胸郭、上肢、頚部、腹腔や骨盤腔:胃癌転移Virchow's nodeなど)
上肢リンパ節の流れ;
Axillary nodes;腋窩リンパ節~大胸筋の裏・背側、腋窩の天井、上腕の付け根
Infraclavicular nodes;鎖骨下リンパ節
Epitrochlear nodes:滑車上リンパ節~上腕二頭筋と三頭筋の上腕骨内側上顆あたりにある。触れれば腫脹。
鼠経リンパ節;水平グループ(外陰部、会陰部、前下腹部の流れ)と垂直グループ(下肢)に分かれる。
1.5cm以上で異常。
今回のリンパの流れは、体表から確認できるものだけですが、この他にも内臓などにもリンパ節は点在しています。
部位によって、触診の仕方も多少変わり、異常と判断できる大きさも異なります。
しっかりと頭に叩き込んでおこうと思います。