都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

舌の位置で運動パフォーマンスが変わる?

本日は、膝の動きと舌の位置について。

 

あまり意識しない舌の位置。

でも、体を動かすときには大切なよう。

 

di Vico R, et al. The acute effect of the tongue position in the mouth on knee isokinetic test performance: a highly surprising pilot study. Muscles Ligaments Tendons J. 2014 Feb 24;3(4): 318-23.

膝の運動パフォーマンスに対する舌の位置の急性効果:驚くべきパイロット研究

 

舌は、嚥下・呼吸・会話・咀嚼に関わるもの。

最近は運動にも影響することが示唆されている。

 

今回、舌の位置の違いが、膝の運動に及ぼす影響を検討。

 

対象は18名の男性(平均年齢26.6歳)。

舌の位置は、A中間位、B舌先を挙上、C下顎に抑えるようにするの3位置

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は318-323f1.jpg

これらの位置で、膝のトルクを計測。

 

その結果、

180°/ s拡張 舌A 舌C 舌B Δ(舌A/舌B) Δ(舌A / 舌B)

Δ(舌C/舌B

 
最大ピークトルク(Nm) 130±31.66 136±30.63 148±36.59 4.06% 13.56% 9.13%
最大ピークトルク/ Bw(%) 176±38.28 184±40.12 199±43.73 4.50% 13.43% 8.55%
最大仕事量(J) 153±46.58 162±47.65 175±53.04 5.82% 14.66% 8.36%
平均ピークトルク(Nm) 109±27.09 115±24.71 122±30.26 5.51% 12.54% 6.66%
平均電力(W) 191±54.88 203±53.31 223±62.95 6.11% 16.80% 10.08%
加速時間(ミリ秒) 58±15.78 56±17.42 46±10.16 −3.70% −20.99%* −17.95%
減速時間(ミリ秒) 122±33.78 115±34.59 103±31.48 −5.85% −15.79% −10.56%
 
180°/ s屈曲            
最大ピークトルク(Nm) 71±18.57 73±26.85 95±26.23 2.96% 33.84%* 29.98%*
最大ピークトルク/ Bw(%) 95±23.85 99±38.17 128±33.69 3.52% 33.73%* 29.19%*
最大仕事量(J) 85±31.64 89±43.16 113±38.26 4.55% 32.41% 26.64%
平均ピークトルク(Nm) 58±14.72 60±22.16 74±20.63 3.01% 27.16% 23.44%
平均電力(W) 96±30.48 102±46.59 129±43.69 6.22% 33.85% 26.01%
加速時間(ミリ秒) 85±32.99 89±32.07 66±26.53 4.20% −22.69% −25.81%
減速時間(ミリ秒) 114±26.49 111±20.56 101±24.95 −2.52% −11.32% −9.03%
 
90°/ s拡張            
最大ピークトルク(Nm) 180±32.25 174±42.36 192±45.23 −3.19% 6.89% 10.42%
最大ピークトルク/ Bw(%) 243±38.35 236±57.04 260±57.42 −2.91% 6.94% 10.14%
最大仕事量(J) 210±49.16 205±60.71 221±58.75 −2.30% 5.19% 7.66%
平均ピークトルク(Nm) 165±31.34 162±40.29 181±41.95 −1.72% 9.74% 11.67%
平均電力(W) 158±36.67 162±44.68 185±49.99 2.36% 16.89% 14.20%
加速時間(ミリ秒) 46±14.47 43±20.16 34±14.99 −7.69% −27.69% −21.67%
減速時間(ミリ秒) 156±28.54 104±42.54 78±42.64 −33.49% −50.00% −24.83%
 
90°/ s屈曲            
最大ピークトルク(Nm) 87±17.11 90±32.05 112±28.31 3.78% 28.67%* 23.99%
最大ピークトルク/ Bw(%) 119±24.79 124±46.65 152±38.29 4.17% 28.13%* 23.00%
最大仕事量(J) 112±30.72 118±50.05 141±43.05 5.15% 25.91% 19.74%
平均ピークトルク(Nm) 79±16.48 84±31.56 105±26.21 6.53% 33.27  25.09%
平均電力(W) 79±22.37 89±37.53 115±32.66 11.76% 45.68% 30.35%*
加速時間(ミリ秒) 70±35.95 72±32.62 46±18.28 3.06% −34.69% −36.63%*
減速時間(ミリ秒) 113±76.10 91±39.70 77±25.25 −19.62% −31.65% −14.96%

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は318-323f2.jpg

MIDが舌A、Lowが舌C、Upが舌Bの位置。

 

舌Aに対して舌Bの位置は、筋出力が30%もアップしている。

 

タイトルにあるように驚くべき効果です。

その機序は検討されてはいませんが、舌の位置と下肢の運動は関連することが示唆されます。

 

例えば、猫背姿勢などでは、舌の位置が変わり、その結果運動にも影響するかもしれません。

姿勢を矯正しつつ、上顎に舌先を付けるは運動能力UPするかもしれませんね。


以前、鼻呼吸について書きましたが、鼻呼吸をする際にも舌の位置を意識するのもいいです。

今回の報告にある舌Bの位置で鼻呼吸をすると、鼻の奥から呼吸する感覚が得られるかと思います。

そうすることでより深い呼吸ができると思いますのでお試しください。