脱水症の身体所見の精度

脱水症に関する研究は小児が多くて成人例の報告は少なめです。

そんな中から2編の報告を今回は参照しました。

論文1；

Meta-Analysis　JAMA. 1999 Mar 17;281(11):1022-9.

The rational clinical examination. Is this patient hypovolemic?

S McGee 1, W B Abernethy 3rd, D L Simel

論文2；

Intern Med. 2012;51(10):1207-10.

Physical signs of dehydration in the elderly

Miyuki Shimizu 1, Kensuke Kinoshita, Kazuya Hattori, Yoshio Ota, Takao Kanai, Hiroyuki Kobayashi, Yasuharu Tokuda

 

2編の報告による身体所見の精度を1つの表にまとめると、

		感度(%)	特異度(%)
バイタルサイン	脈拍数増加＞30/分	43	75
	起立性低血圧	29	81
	＊意識レベル低下	11	72
皮膚・眼・粘膜	腋窩の乾燥	50	82
	＊腋窩乾燥	44	89
	口腔と鼻腔の乾燥	85	58
	＊口腔乾燥	56	61
	舌の乾燥	59	73
	舌に縦の線ができる	85	58
	窪んだ眼窩	62	82
	＊窪んだ目	22	83
	Capillary refill time	34	95
	＊Capillary refill time	22	83
	＊皮膚ツルゴール低下	22	72

＊は論文2のデータ

コラーゲン減少による皮膚ツルゴールの低下

口呼吸により口腔の乾燥

眼窩脂肪の減少で眼窩が窪む

このデータから、感度の高い所見はないので、否定することが難しい。