外反母趾に対するテーピングの症例報告
本日は、外反母趾を呈した女性にテーピングでの施術を行った1例報告です。
Lee SM, et al. Effects of balance taping using kinesiology tape in a patient with moderate hallux valgus: A case report. Medicine (Baltimore). 2016 Nov; 95(46): e5357.
中等度外反母趾患者におけるキネシオロジーテープを用いたバランステーピングの効果:症例報告
外反母趾は親指(第1趾)が第2趾に向かって、中足趾節(MTP)関節の側方偏位するもの。
外反母角(HVA:前後方向で中足骨と母趾の基節骨を二等分する線の間の角度)~
正常;15°、軽度;<20°、中等度;20°~40°、重度;≧40°
中足骨角(IMA:第1と第2中足骨軸の角度)~
正常;<9°、軽度;<14°、中等度;14°~20°、重度;>20°
を評価。
症例
26歳、女性。中等度の外反母趾。
歩行時のMTP関節の内側隆起部に痛み。
初期評価では、
右足
HVA;21°(中等度)
IMA;15°(中等度)
左足
HVA;22°(中等度)
IMA;14°(中等度)
バランステーピングを3か月、平均16時間/日行った。
使用テープは、2.5cm幅のI型弾性テープ。
手動で母趾を外転させながら、踵まで貼付。
母趾の付け根から第5趾中足骨の外側に向かって貼付。
再度、母趾から踵まで貼付。
テープテンションは約30~40%。
このテープは、皮膚のかゆみの有無に関わらず24時間以内にはがす。
これを毎日繰り返す。
3か月後
右足
HVA;21°⇒14°(正常)
IMA;15°⇒14.5°(中等度)
左足
HVA;22°⇒11°(正常)
IMA;15°⇒12°(軽度)
歩行時の痛みは消失した。
今回の方法では、HVAは改善したが、IMAは不十分で、さらなる改良が必要。
インソールや毎日のストレッチも有用ですが、
全ての靴にインソールを作り、コツコツとストレッチをするのは大変です。
テーピングも毎日するのは大変ですが、選択肢があるのは患者さんにとっていいことだと思います。
鍼や灸だけで治そうとすると選択肢が減ってしまいますが、こうした方法も一緒に取り入れるのもいいかな?と思います。
でも、テープの種類や巻き方など、色々で奥が深そうです。