肩甲骨間の肩こりには、ここを治療
本日は、肩甲背神経を使った肩こり治療の報告です。
鹿児島や宮崎県都城では、肩甲骨内側の痛みを「へき」とか「へっつぼ」と呼ぶようです。意味は知りませんが。
A.M.Trescot(ed.). Peripheral Nerve Entrapments: Clinical Diagnosis and Management. DOI:10.1007/978-3-319-27482-9_32.
肩甲背神経(DSN)は、C4・C5から多くは始まっている。解剖の教科書的にはC3-C5。後頚部三角で中斜角筋を貫通し、肩甲挙筋を通り、肩甲骨内側に沿って菱形筋を支配している。
(J Can Chiropr Assoc.2017 Aug;61(2):128-144.より)
そのため、DSNの障害は、外傷性・絞扼性・職業病性により、肩甲骨間で痛みが現れる。ときに肩や腕の痛み、肩関節の外転の弱さとしての訴えもある。
肩甲骨間の痛みを訴える55人の患者と比較対象の30人で行った研究では、
55人の痛みの原因は、大きく
1.中斜角筋の絞扼
2.菱形筋の筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)
3.翼状肩甲と肩関節の外転運動
であったとしている。
(Arch Phys Med Rehabil.2013 Jun;94(6):1118-25.)
DSN障害と鑑別に挙がり、間違えやすいものとして、
肩のインピンジメント・癒着性関節炎・腱板疾患・頚部神経根障害・上腕神経叢障害などである。
そこで、
中斜角筋および肩甲骨内側に圧痛がないか?
翼状肩甲はないか?
僧帽筋の萎縮などはないか?(DSNの栄養血管が僧帽筋の上部線維にも供給しているため)
を観察する
これらを確認し、上記の3つの可能性(絞扼性?筋痛?など)を絞り込み、治療にあたるとある。
触診では、下記のような構造をイメージする。
Trapezius:僧帽筋、SCN:胸鎖乳突筋、Clavicle:鎖骨、DSN:肩甲背神経
中斜角筋の位置を確認したら、そこを治療部位とする。
肩甲骨間の鍼治療では、気胸のリスクがあります。
リスク回避のためにも、この中斜角筋による肩甲背神経刺激をまずは行ってもいいと思います。
また、患者さんへのセルフケアとしても指導することができます。背中はなかなか自分の手は届きませんので、首の刺激をしてもらうように指導するのがいいと思います。