都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

自分の声や息が大きく聞こえるときは

本日は、耳管開放症についてです。

 

大島猛史.耳管開放症の診断と治療.日耳鼻.2016;119:1366-1372.

 

耳管とは、上咽頭と鼓室をつなぐ管で、安静時は閉じられた状態になっている。

しかし、嚥下時には約数百ミリ秒のみ解放し、空気などを通過させる。

この耳管の開くのが障害されると「耳管狭窄症」から中耳炎になる。

反対に耳管が開いた状態が持続すると「耳管開放症」となる。

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https://www.shinseikai.jp/department/jibika/detail16.html より掲載

 

耳管開放症の有病率は、はっきりとしたほうこくはないようだ(3%以上とされている)。

誘因は、体重減少(最も多い)、発汗、運動、妊娠、中耳炎など。

 

診断には、

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とされている。

3症状の訴えがあれば、耳管開放症を疑う。特に自声強聴は9割の患者に起こる。

しかし、他の疾患でも起こるため、これだけでは確定できない。

自己呼吸音聴取は、他の疾患では起こりづらいため、この訴えがあれば可能性が上がるが、発生率は7割以下。

 

そこで、体位変換による症状の変化があるかを問うことが大切。

例えば、立位や座位で起こった症状が、臥位で消失すれば可能性が上がる。

確定診断には他覚的所見が必要となる。

 

耳管開放症患者では、鼻すすり癖が出現することが多い。

特に10代~30代に多そう。

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全体では、25.2%に鼻すすりが認められた。

 

鼻すすりを行うと症状が一時的に治まるためとされている。

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しかし反対にいえば、鼻すすりのある患者では、上記の3症状や体位変換による変化が検出されにくくなる(3症状ではなく、聴覚過敏になるなど)。

鼻すすりがみられる患者では、積極的に問診していく必要があるかもしれない。

鼻すすりが日常的なものになるとやがて、中耳炎に進展してしまう例があるようだ。

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保存的治療から外科的治療まである。

鍼灸師は、どう対応していくか?