自分の声や息が大きく聞こえるときは
本日は、耳管開放症についてです。
大島猛史.耳管開放症の診断と治療.日耳鼻.2016;119:1366-1372.
耳管とは、上咽頭と鼓室をつなぐ管で、安静時は閉じられた状態になっている。
しかし、嚥下時には約数百ミリ秒のみ解放し、空気などを通過させる。
この耳管の開くのが障害されると「耳管狭窄症」から中耳炎になる。
反対に耳管が開いた状態が持続すると「耳管開放症」となる。
https://www.shinseikai.jp/department/jibika/detail16.html より掲載
耳管開放症の有病率は、はっきりとしたほうこくはないようだ(3%以上とされている)。
誘因は、体重減少(最も多い)、発汗、運動、妊娠、中耳炎など。
診断には、
とされている。
3症状の訴えがあれば、耳管開放症を疑う。特に自声強聴は9割の患者に起こる。
しかし、他の疾患でも起こるため、これだけでは確定できない。
自己呼吸音聴取は、他の疾患では起こりづらいため、この訴えがあれば可能性が上がるが、発生率は7割以下。
そこで、体位変換による症状の変化があるかを問うことが大切。
例えば、立位や座位で起こった症状が、臥位で消失すれば可能性が上がる。
確定診断には他覚的所見が必要となる。
耳管開放症患者では、鼻すすり癖が出現することが多い。
特に10代~30代に多そう。
全体では、25.2%に鼻すすりが認められた。
鼻すすりを行うと症状が一時的に治まるためとされている。
しかし反対にいえば、鼻すすりのある患者では、上記の3症状や体位変換による変化が検出されにくくなる(3症状ではなく、聴覚過敏になるなど)。
鼻すすりがみられる患者では、積極的に問診していく必要があるかもしれない。
鼻すすりが日常的なものになるとやがて、中耳炎に進展してしまう例があるようだ。
保存的治療から外科的治療まである。
鍼灸師は、どう対応していくか?