爪白癬について
以前、ブログの中で爪を観察することで、様々な疾患が示唆されるということを書きました。
本日も爪に関する報告を集めてみました。
本日は、爪白癬に関する内容です。
まずは、日本での有病率に関する報告です。
Shimoyama H, et al. 2016 epidemiological survey of dermatomycoses in japan. Med Mycol J. 2019;60 (3): 75-82.
皮膚真菌症の疫学調査で、6776例を分析した。
全国の各医療機関で調査。
その結果、
皮膚糸状菌症:5772例(85.2%)
足白癬;3314例
爪白癬;1634例
体白癬;423例
下垂白癬(鼠径部皮膚真菌症);316例
などと
爪白癬が2番目に多い。
カンジダ症:757例(11.2%)
カンジダ間部;181例
口腔カンジダ症;165例
性器カンジダ症;119例
おむつカンジダ症;113例
など
足白癬と爪白癬の年齢別グラフをみると、加齢に伴い増加することが分かる。
それでは、これらの爪白癬に対して、数年前に保険認可がおりた外用剤2種類の効果はどうなのか?
Kawai M. Characteristics and efficacy of two topical therapeutic agents for onychomycosis. Med Mycol J. 2019;60(3):71-4.
足白癬や爪白癬の治療の第1選択薬は、経口抗真菌剤だが、高齢者には基礎疾患や肝機能障害が併発していることが多く、その場合使用できない。
そのため、外用剤による選択しかない。
2014年エフィナコナゾール、2016年ルリコナゾールが日本で承認された。
この2種類の効果はどうか?
両方とも有効率(治癒から改善までをふくむ)は高い。
では、鍼灸治療の効果はどうだろう?
爪白癬に関しては、症例報告が1編みつけられた。
他にもあるかもしれないが、今回はこれを紹介します。
校篠由紀、他.灸療法で軽快した爪白癬の1例.皮膚の科学.2002;1(5):335-7.
67歳、男性.
主訴:手足の爪の白濁・肥厚・脆弱化
知熱灸を実施(週1-2回)。
親指はとくに変化があったが、他の指は改善が乏しかった。
真菌の適正培養温度は37℃で、知熱灸は40℃を超えることから、白癬菌の増殖を抑制できる可能性がある。
母指は、他の指と比べ爪の成長速度が速いためと考えられるとしている。
爪白癬は、蜂窩織炎を引き起こすこともあるため、治療を行うことが望ましいと考えます。
外用剤の効果もあるようなので、外用剤を行いつつ、灸も併用するといいかもしれません。併用効果の検討された報告があるといいのでしょうが。