都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

日本から発信された呼吸器疾患への鍼治療の報告ってどれくらいある?

本日は呼吸器疾患に対する鍼治療の報告はどれくらいあるのか?を日本国内に限定して調べたものです。

 

Suzuki M, et al. Research into acupuncture for respiratory disease in japan: a systematic review. Acupunct Med. 2009 Jun;27(2):54-60.

 

日本では、エビデンスの集積がなされてきているが、呼吸器疾患に関しては少ない。またその発信は日本語表記で、海外からのアクセスは困難。

これでは、日本鍼灸の良さが海外に伝わらない。

(現在では対策として、全日本鍼灸学会雑誌に掲載されたものは、同時に英訳され公開されています)

そこで、日本国内で呼吸器疾患に対する報告をレビュー

 

1979年から2006年までの期間で34件見つかった。

内訳は

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34件中19件は2000年以降(55.9%)で、他はそれ以前。

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症例報告と症例集積の報告が25件

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取り扱った呼吸器疾患は、喘息、COPD、慢性気管支炎、間質性肺炎、風邪。

鍼治療の形態は、伝統医学的治療法、鍼通電療法、ローラー鍼、埋没法、良導絡、Doushi(頸動脈洞あたりに鍼をする方法のこと)?

1件を除き良好な結果だった。

 

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対照試験においては、喘息やCOPDなどが行われており、Jadadスコアは平均で0.9だった。

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ほとんどが、適切な品質が保てていないが、要件を満たすものは1件あった。

 

日本には、海外と比べローラー鍼などのバラエティに富んだ方法が存在します。

確かに方法論的には海外と比べエビデンスレベルは低いかもしれませんが、こうした様々な方法が行われていることを発信することは非常に大切なことだと思います。

今回の著者もおそらく、日本の鍼灸の良さをアピールするための報告だったのだと思います。有難いことです。