骨粗鬆症の予防法
年齢を重ねると、特に女性は骨折リスクが高まることは知られています。そのため、牛乳などのカルシウムやビタミンDを摂取することが報告され、テレビでも一時期取り上げられたりしていました。
ビタミンDが骨粗鬆症の骨折リスクを下げるという根拠は日本の医学会から発表されましたが、海外ではどう評価されているのでしょうか?
今回は、骨折リスクに関する対応で本当に有効なのは?というものを検討した報告です。
Trajanoska K, et al. Assessment of the genetic and clinical determinants of fracture risk: genome wide association and mendelian randomisation study. BMJ. 2018 Aug 29; 362: k3225.
目的は、骨折リスクの遺伝子を特定すること、そして危険因子を判別すること
参加国は、ヨーロッパ・アメリカ・東アジア・オーストラリア
これらの諸国からの25のコホート研究を集約(骨折患者n=185057、対照患者n=377201)
桁違いの参加人数での多国籍共同研究です。
遺伝子解析を行った結果、15の遺伝子が骨密度と関連することが判明。
また、骨折の危険因子と言われているものと、骨折に本当に関係があるのか?を検証した結果、「骨密度」だけが因果関係が認められるとした。
大腿骨頚部の骨密度:オッズ比1.55(1.48-1.63)→大腿骨の骨密度の標準偏差が下がると、同部位の骨折リスクは55%上昇する。
日本で言われるような、ビタミンDやカルシウムは、骨折とは影響なしという結果でした。
ある程度は、人種差というものがあるので、この結果だけを理由に否定することは難しいとは思いますが、現在言われているほどの影響はないと思います。
また、骨粗鬆症のリスクがある場合、投薬治療を行っている患者さんがいますが、実際に効いているのでしょうか?(薬剤の効果を否定しているのではなく、どの程度効果が出ているのかが分からないという意味です)
今回の結果をみる限り、筋力も骨折リスクと関連がありますので、やはり筋力を維持していく運動習慣が最も大切なのだろうと考えます。