遠位上腕二頭筋腱の不全断裂
肩痛の鑑別の1つに、上腕二頭筋長頭の痛みがありますが、
今回は、ひじ痛の鑑別で、遠位部の上腕二頭筋腱の不全断裂です。
遠位上腕二頭筋腱不全断裂の2例
日本肘学会雑誌.2018;25(2):265-267.
遠位上腕二頭筋腱(Distal Biceps Tendon;DBT)の断裂は、近位部と比べて比較的稀とされているようです。
遠位部の完全断裂と不全断裂があり、
完全断裂では、通常急激な発症・著名な肘関節の屈曲と前腕回外の筋力低下が認められ、上腕二頭筋筋腹の中枢移動あり、診断は容易。
https://www.londonupperlimbsurgery.co.uk/distal-biceps-rupture
しかし不全断裂は、発症は緩徐・筋力低下も軽度・典型例を示すことは稀とのこと。
本文では2症例が提示されていて、
誘因と思われるものとして、1例はウエイトリフティングだったが、もう1例は誘因なし。
疼痛部位は、両者ともに肘窩部から近位前腕部。抵抗運動で疼痛誘発。
関節可動域の制限はなし。
前腕回外運動で軽度筋力の低下あり(MMT5/4)。
手術で改善。
1例それっぽい方を経験したことがありますが、
肘痛の原因として、不全断裂ないし損傷例は鑑別候補として忘れないようにしたいです。