都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

遅発性筋痛(筋肉痛)に効果的な方法は?

2018 Apr 26;9:403.
 doi: 10.3389/fphys.2018.00403. eCollection 2018.

An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis

 
筋肉痛は遅発性筋痛(DOMS)とも呼ばれ、24時間以内に始まり72時間以内にピークを迎える。
その機序は明確にはなっていないが、 トレーニングに影響を与えるため、ケアが必要とされる。
ケアの仕方として、大きく2つに分けられる。
1.アクティブ・クールダウン~軽めのジョグや自転車での有酸素運動
2.パッシブ・クールダウン~マッサージ・静的ストレッチ・電気刺激・冷水浴など
これらのケアで最も有効な方法は?
という目的でのメタ解析。
 
2017年までの報告(n=1963)から厳選され、99編が残った。
集められたケアの方法は8つ。
1.アクティブリカバリー~上記でいうアクティブ・クールダウン
2.マッサージ
3.加圧ウェア(コンプレッションウェア)
4.冷水浴
5.交代浴
6.寒冷療法(アイシング)
7.電気刺激
8.静的ストレッチ
 
この8つの方法を、トレーニング後6時間・24時間・48時間・72時間・96時間に行った場合の効果を比較した。
 
その結果、
レーニング後6時間以内のケアでは、静的ストレッチと電気刺激を除く方法でDOMSの痛みが改善した(下図A)。
また24時間~48時間においては、アクティブリカバリーの効果は減弱し、マッサージが最も効果があった。
72時間以降では、加圧ウェアの効果が大きくなった。
 
DOMSによる倦怠感(下図B)については、
マッサージが有効だったが、トレーニング後24時間まで。
それ以降はマッサージの検討はないため不明。
その他、加圧ウェアや冷水浴もそれなりの効果がある。
 
An external file that holds a picture, illustration, etc.
Object name is fphys-09-00403-g0005.jpg
 
DOMSに関わる炎症マーカーについては、
CRP値は、冷水浴と加圧ウェアが調べられているが、効果なし。
IL-6は48時間以降のマッサージで効果ありとされている。
クレアチンキナーゼ(CK)は、48時間以降のマッサージで効果あり。48時間での冷水浴は効果あるが、その前後の時間では効果なし。
 
An external file that holds a picture, illustration, etc.
Object name is fphys-09-00403-g0006.jpg
Time course effect of recovery modalities on CRP (A), IL-6 (B), and CK (C). The results are presented as SMD ± IC (SMD, standardized mean differences; IC, interval of confidence).
 
これより、マッサージを
 DOMSによる倦怠感(疲労)をとるならトレーニング後6時間~24時間
DOMSによる痛みや炎症抑制なら、トレーニング後48時間~72時間
に行うのが最適と思われます。
 
その他、加圧ウェアや冷水浴を適宜組み合わせることで、効果が高くなる可能性はありますが、
静的ストレッチや電気刺激は、DOMSにはあまり効果がない。