都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

便秘とオリゴ糖

. 2018 Jun; 27(3): 781–788.
Published online 2018 Jan 5. doi: 10.1007/s10068-017-0300-2
PMCID: PMC6049690
PMID: 30263804

Complex-oligosaccharide composed of galacto-oligosaccharide and lactulose ameliorates loperamide-induced constipation in rats

 
動物研究
 
便秘を誘発したラットに、
ラクツロース
ラクオリゴ糖ラクツロースの複合型オリゴ糖
の3種類を低用量と高容量の6グループと便秘なし(Nor)・偽服用(Con)の8グループで比較
 
その結果、
下図A;腸通過率
下図B;短鎖脂肪酸
下図C;酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸
写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は10068_2017_300_Fig1_HTML.jpgです。
 
腸通過率は、便秘なし47.1%から、CONは40.1%の減少を示し、
高容量のラクツロースとGOSはCONと比べ増加傾向を示すも有意差なし
高容量の複合型オリゴ糖はCONと比べ有意な改善(10.7%増加)を示した。
また高容量の複合型オリゴ糖は、総短鎖脂肪酸を増やし、その種類として、酢酸塩>プロピオン酸>酪酸>吉草酸の順で多かった。
 
 
ビフィズス菌の数は、高容量のオリゴ糖が最も数を増やしたが、高容量の複合型オリゴ糖との統計学的な有意差なし。
写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は10068_2017_300_Fig2_HTML.jpgです。
便秘において、腸通過時間は有用な指標である。
複合型オリゴ糖は、腸の運動性を高め、腸通過時間を早める。
 
また短鎖脂肪酸は、腸の障害の予防や緩和に必要とされる報告がある。
高容量の複合型オリゴ糖は、総短鎖脂肪酸数を増やし、その内訳として特に酢酸塩の上昇が大きい。
短鎖脂肪酸は腸の運動のエネルギー源になるので、腸通過率にも影響がでる。
また腸内の善玉菌の餌にもなるので、腸内環境を整える。
 
ビフィズス菌は腸内の糖分を分解し、Phを下げる(悪玉菌が多いとアルカリ性に傾くので、それを酸性にしてくれる)。
 
便秘の改善には、高容量の複合型オリゴ糖が有用とされる結果を裏付けする報告。
 
しかし使用には一部気をつけなければいけないこともあります。
服用したすべての方に出るわけではないが、一部腹痛などがおこることが報告されています。