汗について
室田浩之、他.意外な汗の免疫機能とその制御.アレルギー.2018;67(6):747-750.
汗;
体温調節・生体防御・皮膚の保湿
Ph:4.0-6.8の弱酸性
主要構成:電解質(塩化ナトリウム、カリウムなど)、重炭酸ナトリウム、尿素、ビルビン酸、乳酸、抗菌ペプチド、プロテアーゼ、プロテアーゼ阻害物質など
体温調節~体重70㎏の人が1℃の体温を下げるには、汗を100㏄をかき、汗を蒸発させることが必要
生体防御・保湿~汗が角層を保湿し、バリア機能を高める
構成要素の働き;
尿素・乳酸~天然保湿因子として角層の保湿と剥脱促進の役割
システインプロテアーゼ阻害作用~ダニ抗原やキウイフルーツ抗原などを失活
セリンプロテアーゼ阻害作用~アトピー性皮膚炎での角層バリアの改善に作用
など、皮膚の恒常性維持機能に重要な働きがある。
アトピー皮膚炎は、汗鬱滞症候群という歴史的な考察がある。また多系統萎縮症は乏汗となり、皮膚症状(乾燥皮膚など)が出現する。
汗は、生体にとって必要なものだが、適切に蒸発させないといけない。
その最たる例が「あせも(汗疹)」である。
皮膚表面が長時間の高湿状態になると、汗孔が閉塞し汗疹ができる(なぜ高湿が汗孔を閉塞するのかは不明)。
汗疹部位は、数週間は無汗状態になるため、範囲が広いと恒常性維持に影響がでる可能性がある。
アトピー性皮膚炎は乏汗状態のため、皮膚に熱がこもり、乾燥し、バリア機能が低下する(鍼灸刺激の目的となる)。
これらの患者さんには、汗の出現について状態を確認することが必要。
1つの目標として、適切に汗をかけるということを指導する。
余分な汗は、ふき取りや流水で流すことももちろん大切。