都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

書籍紹介

本日は書籍紹介です。

 

少し前の書籍になりますが、

徳田安春編.症候別”見逃してはならない疾患”の除外ポイント-The診断エラー学ー.第1版.医学書院.東京.2017年.

「症候別”見逃してはならない疾患”の除外ポイント」の画像検索結果

序文

患者は病気にかかって病院に行くときには「病気はよくなる」という心理状態をもつ.患者にとっては,そこで自分が誤診されるというのは想定外であり,医療事故に遭遇するのも全くの想定外なのである.この心理プロセスはデフォルト・バイアス(default bias)であり,医療機関では適切な診断がなされるはずというのが,「デフォルト」として患者の心理ベースにある.しかしながら,臨床現場における診断エラーの発生は,意外に多いことがわかっている.

 このようなタフな臨床現場で,われわれは果たしてどうすればよいのか? それは,われわれ医師自らがスキルをアップすることしかないであろう.しかしその道にも“効率的な方法”というのがある.それは,“キラー疾患”や“落とし穴的病気”を常に意識して,除外するように努めることである.近年そのような学問が成立しつつある.「診断エラー学」だ.本書は,好評であった 『JIM』(現 『総合診療』)誌での特集3回分を統合し,大きく加筆・修正したものである.「診断エラー学」の総論と各論をまとめており,各論では症候別に具体的戦略を提示した.

 最近多くの症候学テキストや雑誌の特集記事が出ているが,このようなポイントを明瞭に記載したリソースはあまりなかった.診断能力の向上には,症候学を極めたsophisticated diagnosticianの英知から学ぶ点も多い.本書では,まさにこのような指導医からの貴重なアドバイスを症候別にまとめて習得できるようにした.現場の医師が本書を活用し,“大穴疾患の落とし穴”に落ちずに安全な医療を提供する助けになれば,編者として喜ばしい限りである.

 患者安全のための“診断のプロ”を目指す皆さんは,本書を診療現場で携行し,繰り返し参照し手元に置きながら,より安全な医療を目指して,患者や家族の期待に応えることのできるジェネラリストを目指そう!

 2016年1月吉日
 徳田安春

https://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=89153より引用

 

目次

総論
 「診断エラー学」のすすめ

全身症状
 1 全身倦怠感
 2 体重減少
 3 体重増加・肥満
 4 発熱
 5 一過性意識障害
 6 浮腫
 7 食欲不振
 8 リンパ節腫脹
 9 黄疸
 10 発疹
 11 多尿・多飲
 12 失神

痛み
 13 頭痛
 14 胸痛
 15 腹痛
 16 咽頭
 17 腰背部痛
 18 関節痛・筋肉痛

胸部症状
 19 咳・痰
 20 呼吸困難
 21 動悸
 22 喘鳴

消化器系症状
 23 下痢
 24 便秘
 25 吐血・下血
 26 嚥下障害・胸やけ
 27 嘔気・嘔吐

精神・神経系症状
 28 不安・不眠・抑うつ
 29 認知障害
 30 めまい
 31 四肢のしびれ
 32 痙攣
 33 歩行障害

そのほかよくある症状
 34 嗄声
 35 視力障害・視野狭窄
 36 目の充血・眼痛
 37 難聴・耳鳴・耳痛・耳漏

慢性症状
 38 低血圧
 39 高血圧
 40 糖尿病・脂質異常症高尿酸血症

あとがき
索引

コラム

1 「除外できない」ポイント
2 閾値モデルで考える除外診断
3 複数の所見(尤度比:LR)を除外診断に使う方法
4 “likelihood ratio(=LR)”について
5 「直感」と「ひらめき」の違いについて教えてください
6 較正サイクル(re-calibration cycle)とは?
7 診断エラーを減らす工夫
8 社会的な影響のある診断エラー
9 「診断エラー学」の必要性
10 診断エラー国際学会の活動
11 フィジカルの尤度比は信頼できるか?
12 診断エラー予防のためのAI(人工知能)開発
13 ふらつき,低血圧を主訴として来院し,MSA-Cと考えられた1例

 

徳田先生は、他にも多数の書籍があり、身体診察に関する本などもあります。

まんが版も発刊されていますので、まだ徳田先生の本を読んだことがない方には、漫画版がおすすめ。

「こんなときフィジカル」の画像検索結果

「こんなときフィジカル」の画像検索結果

 

鍼灸師は、当然、画像や血液検査などは行えません。

だからこそ、身体所見(理学的検査所見)を鍛えぬくことが、ひじょーに大切。

脈診や腹診、舌診などは東洋医学的身体所見で、これも大切ですが、西洋医学的身体所見も大切だと思っています。

私も毎日勉強しているが、すぐに身に付くものと、何度やっても分からないものがあります。

 

同じぐらい大切なのが病歴聴取。

これも難しい。

何を聞けばいいかは、本やインターネット検索ですぐに手に入りますが、どのタイミングで聞くか?なぜそれを聞くのか?

1つ1つにしっかりと意味を持たせて聞く。

これは簡単には身に付かないです。

 

何度読んでも、新しい発見がある。

そんな本です。