2020-08-27 精神科疾患と前頭葉徴候 Review Aust N Z J Psychiatry . 2005 May;39(5):317-27. doi: 10.1080/j.1440-1614.2005.01578.x. Cortical release signs in psychiatry Mark Walterfang 1, Dennis Velakoulis 前頭葉徴候(Cortical release signs;CRS)は、原始反射で新生児に認められる。成長とともに中枢神経系が発達し、原始反射は抑制される。 しかし何らかの原因で脳の機能異常が起こると抑制がはずれ(脱抑制)、前頭葉徴候が確認されることが起こる。 多くは脳卒中やパーキンソン病などで認められるが、精神科疾患においても確認されることがある。 そこで、精神科疾患における前頭葉徴候の発生頻度などをレビューした。 対象疾患; 統合失調症 双極性障害 うつ病 アルツハイマー病 脳血管性認知症 前頭側頭型認知症 これらの疾患に健常者(>50歳・<50歳)を比較した。 前頭葉徴候; 手掌おとがい反射 把握反射 口尖らせ反射 吸啜反射 眉間叩打反射 結果; 手掌おとがい反射 把握反射 口尖らせ反射 吸啜反射 眉間叩打反射 健常者<50歳 0-30 0 0-10 0-12 0-50 健常者>50歳 5-60 0 0-40 0-12 6-50 統合失調症 0-39 0-47 0-18 0-13 13-49 双極性障害 21-39 11~21 28 0 22 うつ病 40 0 0 0 56 アルツハイマー症 0-54 10-52 0-58 3~30 2-81 脳血管性認知症 38-72 14 43-85 17-34 21-78 前頭側頭型認知症 0 50 58 0 33 健常者と比べると精神科疾患(統合失調症・双極性障害・うつ病)は頻度が多いが、器質的疾患(アルツハイマー病・脳血管性認知症・前頭側頭型認知症)に比べると低い。 前頭葉徴候は、 健常者<精神科疾患<器質的疾患 となる。