都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

精神科疾患と前頭葉徴候

Review
 
2005 May;39(5):317-27.
 doi: 10.1080/j.1440-1614.2005.01578.x.

Cortical release signs in psychiatry

 
前頭葉徴候(Cortical release signs;CRS)は、原始反射で新生児に認められる。成長とともに中枢神経系が発達し、原始反射は抑制される。
しかし何らかの原因で脳の機能異常が起こると抑制がはずれ(脱抑制)、前頭葉徴候が確認されることが起こる。
多くは脳卒中パーキンソン病などで認められるが、精神科疾患においても確認されることがある。
そこで、精神科疾患における前頭葉徴候の発生頻度などをレビューした。
 
対象疾患;
脳血管性認知症
前頭側頭型認知症
 
これらの疾患に健常者(>50歳・<50歳)を比較した。
 
前頭葉徴候;
手掌おとがい反射
把握反射
口尖らせ反射
吸啜反射
眉間叩打反射
 
結果;
  手掌おとがい反射 把握反射 口尖らせ反射 吸啜反射 眉間叩打反射
健常者<50歳 0-30 0 0-10 0-12 0-50
健常者>50歳 5-60 0 0-40 0-12 6-50
統合失調症 0-39 0-47 0-18 0-13 13-49
双極性障害 21-39 11~21 28 0 22
うつ病 40 0 0 0 56
アルツハイマー 0-54 10-52 0-58 3~30 2-81
脳血管性認知症 38-72 14 43-85 17-34 21-78
前頭側頭型認知症 0 50 58 0 33
健常者と比べると精神科疾患(統合失調症双極性障害うつ病)は頻度が多いが、器質的疾患(アルツハイマー病・脳血管性認知症・前頭側頭型認知症)に比べると低い。
 
前頭葉徴候は、
健常者<精神科疾患<器質的疾患
となる。