都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

糖尿病と手の整形疾患

糖尿病や糖尿病合併症があると、手の整形疾患の発生頻度が上がるものがあります。

 

ある報告では、DM患者の約9%に発生したとするものもあります。

 

 

. 2003 Feb;37(1):30-5. doi: 10.1136/bjsm.37.1.30. Musculoskeletal manifestations of diabetes mellitus
では、
糖尿病の有無による発生頻度
五十肩(凍結肩);DMなし:2-10%、DMあり:11-30%
関節可動域の制限;DMなし:0-26%、DMあり:8-50%
デュプイトラン拘縮;DMなし:13%。DMあり:20-63%
手根管症候群;DMなし:125/100000(5年間)、DMあり:11-16%
屈筋腱鞘炎;DMなし:1%以下、DMあり:11%
とされています。
 
こうした糖尿病由来の手疾患を、糖尿病性手症候群(Diabetic Hand Syndrome;DHS
と言います。
 
DMの有無では、同じ疾患名でも少し特徴が異なることがあります。
例えば、
デュプイトラン拘縮では、
DMなし13%程度の頻度ですが、DMアリは16-42%、高齢者、長期罹患はリスク因子
発生部位は、DMなしは、男性の第5指に多いけど、
DMありは、男女両方で、第3-4指に多い
 
血糖コントロールが上手くいっているか?で変わってくるかは不明ですが、
おそらくコントロールされている方がリスクは下がると思います。
 
整形疾患で糖尿病の関連を思い浮かべるのは、とっさには出てこないです。
なので普段から意識しておく。
 
 

下痢型の過敏性腸症候群へ長期間の灸効果

2022 Feb 23;15:17562848221075131.
 doi: 10.1177/17562848221075131. eCollection 2022.
Long-term effect of moxibustion on irritable bowel syndrome with diarrhea: a randomized clinical trial.
下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS-D)に対する長期的な灸の無作為化比較試験
 
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛・腹部膨満・排便異常(下痢型・便秘型・交代型)といった症状が出現。
このうち下痢型のIBS有病率は、世界で10-25%とされる。
 
研究デザイン;多施設RCT、ダブルブラインド
介入;灸;ST25・ST36:52名
比較;偽灸:52名
施術はそれぞれ1回30分、1日おきに週3回、6週間実施。
写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は10.1177_17562848221075131-fig1.jpgです。
評価;IBS症状の軽減率~施術中とフォロー期間に毎週
 
結果;
対象者の背景

灸群と偽群のベースライン人口統計と臨床的特徴。a

  シャム p
性別、n(%)
 男 23(46.9) 28(53.9) 0.327
 女性 29(55.8) 24(46.1)  
年齢、y、平均(SD) 47.6±11.9 45.2±14.7 0.357
高さ、cm、平均(SD) 166.2±8.0 167.3±9.2 0.534
体重、kg、平均(SD) 60.7±12.9 63.0±12.1 0.357
教育、年、平均(SD) 14.2±2.6 15.6±15.4 0.525 b
IBSの期間、年、平均(SD) 6.8±7.9 8.1±7.1 0.353
Ptの期待値、n(%)c
 わずか 7(13.5) 5(9.6) 0.673 d
 適度 12(23.1) 13(25.0)  
 過激 33(63.4) 34(65.4)  
IBS-SSS、平均(SD)
 総得点 253.6±72.2 252.9±77.5 0.958
 腹痛、重症度 37.3±30.4 37.7±32.4 0.950
 腹痛の持続時間、日数 35.4±28.5 38.3±32.3 0.630
 腹部膨満の重症度 37.3±30.4 37.7±32.4 0.950
 排便習慣への満足 69.6±22.8 68.1±26.6 0.752
 一般生活における干渉 67.3±23.4 65.2±23.0 0.643
IBS-SSS、n(%)
 軽度 6(11.5) 10(19.2) 0.352d
 適度 33(63.5) 31(59.6)  
 重度 13(25) 11(21.2)  
BSS、平均(SD)
 総得点 5.92±0.86 6.10±0.80 0.290
 下痢の頻度/週 3.25±1.20 3.61±1.36 0.159
 腸の緊急性スコア 88.5±9.4 88.7±8.9 0.915
IBS-QOL、平均(SD)
 総得点 58.5±18.9 60.1±17.9 0.659
 不快気分 53.6±23.1 55.3±22.8 0.670
 活動への干渉 51.0±22.4 50.6±24.1 0.940
 身体イメージ 73.1±20.0 76.2±18.7 0.412
 健康上の心配 56.1±21.7 55.9±22.5 0.971
 食物回避 40.9±30.0 46.2±27.3 0.350
 社会的反応 66.6±20.6 68.6±24.7 0.648
 性行為 71.6±28.9 73.6±28.7 0.734
 関係 70.0±23.8 71.0±22.6 0.833
HADS、平均(SD)
 不安 7.6±4.1 8.4±4.3 0.346
 うつ 6.1±4.3 6.1±4.4 0.964
 
IBS症状の軽減率
写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は10.1177_17562848221075131-fig3.jpgです。
 
偽灸に比べて、灸はIBS症状を軽減させ、その効果は少なくとも24週は持続する。
灸グループは、およそ77%が軽減反応を示した。
1回の施術の平均皮膚温度は、灸43℃、偽灸37℃で、
TRPV1の刺激が関与している可能性を考察。
 
この報告では、棒灸を使用。
30分自分でするのは大変なので、工夫は必要となりますが、
セルフケアとしても使える。
 
日本ではIBS患者は10-20%の有病率とされています。
そのうち下痢型はどのくらいいるか?は分かりませんが、有効なセルフケアないし治療法になる可能性が期待できます。
 
 
 

耳鍼について

2022 Feb 17;9(2):13.
 doi: 10.3390/medicines9020013.
The Medial Surface of the Auricle: Historical and Recent Maps. What Are the Possible Expectations of the "Thumb-Index Technique"
Antonello Lovato 1 2Francesco Ceccherelli 2 3Giuseppe Gagliardi 2 4Marco Postiglione 2 5
中国における最初の耳鍼に関係する書籍;Linh Shu(紀元前474年から221年)
ここで心臓・肝臓・脾臓・肺・腎臓に対応した耳の部位が解説。
その後、P.Nogierが耳介のソマトトピーを提案。
医薬品0900013 g001 550
ドイツの雑誌DeutscheZeitschriftfürAkupunkturに掲載。
医薬品0900013 g002 550
1。膀胱; 2.腎臓; 3.膵臓3a。胆嚢; 4.肝臓; 5a。食道; 5b。噴門; 5c。お腹; 5d。小腸; 5e。大腸; 6.肺; 7.ハート; 8.皮質下; 9.内部鼻; 10.内分泌; 11.脾臓が対応している。
 
1971年までには、新たな機能局在が発見されたりして(マイクロシステムと呼ばれたりした)、それをもとにフランスの医師H.Jerricoは改定をした。
医薬品0900013 g003 550
 
1988年、中国の鍼灸協会(CAAM)が、耳鍼の地図の標準化作製に取り掛かった。
1990年、テリー・オレソンが、耳の地図は限りなく支配領域が分割されている(セプトグラム)という画期的な提案をした。
また、これまでは耳の内側だけが多かったが、ここら辺から耳の外側まで記載されるようになった。
医薬品0900013 g004 550
 
耳介に関するワーキンググループも1990年からフランスのリオンでWHO主催で開催。
その後も何回か開催されているけど、耳介の共通化ははかれていないとのこと。
 
2003年には、セプトグラムが改訂される報告があった。
これは耳の穴を中心に3本の基準線を作り、そこを起点にセプトグラムが決まるという考え方。
医薬品0900013 g005 550
2010年、世界中国医学界連盟でされた報告では、
新たな考え方が出されたようですが、理解できませんでした。
医薬品0900013 g006 550
 
耳鍼の歴史は古いけど、まだまだ共通認識が出来ていない。
これは耳に限らず、足裏のツボも同じ。
ここらへんは、施術者も患者さんも混乱することがあるので、なんとか改善する方法を探る必要があるでしょうが、まったく方法は思い浮かばないですね。

パルスオキシメーターが足りないなら

すっごく久しぶりの投稿になります。

 

先日、ニュースで自宅療養者の数が多すぎて、健康観察に必要なパルスオキシメーターが足りなくなっている。というものを見ました。

そこで、本日はパルスオキシメーターの代用としての身体所見を紹介。

 

2021 Dec 29;11(1):179.
 doi: 10.3390/jcm11010179.

Single-Breath Counting Test Predicts Non-Invasive Respiratory Support Requirements in Patients with COVID-19 Pneumonia

 
Single Breath Count Test(SBCT)は、このブログでも取り上げたことのある身体所見です。
SBCTは、個人の最大努力吸入から、一息で、かつ通常の話し声で数を数えるものです。
数えるスピードは1秒間に2つずつが多いです。
 
この身体所見が、高流量鼻カニューレ(HFNC)と非侵襲的換気(NIV)を含む非侵襲的呼吸戦略(NIRS)の予測に有用か?を調査。
 
調査場所は、イタリアの2つの病院で行われた前向き観察コホート研究。
対象は、COVID-19肺炎患者120名、
 
患者ベースラインは、表1
24時間後にNIRSが必要となったグループと必要なかったグループに分けています。

Table 1

Baseline characteristics of patients with COVID-19 pneumonia collected at inclusion into the study.

  NIRS Not Required (42) NIRS Required (78) p-Value
Age (years) 68.14 ± 13.62 66.15 ± 11.66 0.431
Gender F 21 (50%) 27 (34.6%) 0.121
M 21 (50%) 51 (65.4%)
BMI (kg/m2) 25.67 ± 2.48 26.82 ± 5.79 0.449
Tobacco use 3 (7.1%) 3 (3.8%) 0.700
Comorbidities:
Hypertension 30 (71.4%) 36 (46.1%) 0.007
Diabetes mellitus 3 (7.1%) 9 (11.5%) 0.433
Chronic kidney disease 6 (14.3%) 2 (2.5%) 0.017
Congestive heart failure 15 (35.7%) 12 (15.4%) 0.013
Coronary heart disease 12 (28.6%) 15 (19.2%) 0.248
Chronic respiratory disease 6 (14.3%) 12 (15.4%) 0.872
Clinical characteristics:
Onset of COVID-19 symptoms (days) 5.3 ± 3.3 7.3 ± 3.8 0.01
Body Temperature (°C) 36.8 ±0.8 37.2± 0.9 0.038
Heart rate (bpm) 86.6 ± 7.4 85.8 ± 8.7 0.654
Respiratory rate (breaths/min) 21.5 ± 8.1 23.1 ± 7.7 0.314
Dyspnea at rest (Nº of patients) 12 (28.6%) 45 (57.7%) 0.02
SCBT 30.4 ± 6.9 24.5 ± 6.4 <0.0001
FiO2 0.2 ±0.02 0.3 ± 0.2 0.005
SpO2/FiO2 431.1 ± 39.1 357.8 ± 104.9 0.001
PaO2/FiO2 299.01 ± 95.1 235.1 ± 53.4 0.0001
PaCO2 (mmHg) 40.1 ± 6.7 35.1 ± 4.1 <0.0001
pH 7.4 ± 0.02 7.5 ± 0.06 0.0001
D-dimer (mcg/mL) 1.02 ± 0.8 0.9 ± 0.5 0.503
Ferritin (ng/mL) 489.9 ± 440.5 993.9 ± 910.6 0.003
LDH (U/L) 593.0 ± 107.2 698.9 ± 186.1 0.009
 
SBCTなどの評価項目がNIRSの予測に有用なのか?をROC曲線分析したところ、
写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はjcm-11-00179-g001.jpgです。
呼吸数以外は有用であった。
 
また、これらの精度は(表2)、

Table 2

ROC curves results of factors which might predict NIRS requirement. Tests performed in all included patients.

  AUC Standard Error Lower Bound (95%) Upper Bound (95%) Cut-Off Sensitivity Specificity p-Value
SBCT 0.799 0.046 0.710 0.889 32 0.923 0.571 <0.0001
RR 0.575 0.059 0.459 0.691 28 0.348 0.909 0.206
PaO2/FiO2 0.836 0.057 0.725 0.948 280 0.875 0.786 <0.0001
SpO2/FiO2 0.821 0.052 0.720 0.923 438 0.720 0.857 <0.0001

Abbreviations: NIRS, non-invasive respiratory strategies; SBCT, single-breath counting test; RR, respiratory rate.

と、SBCTのカットオフ値32のとき、感度92.3%、特異度57.1%であった。
これより、除外には用いることができる。
確定には、SpO2/FiO2が最も特異度が高く85.7%だった。
 
またサブグループ解析により、SBCTが使える場面?を分析したところ、
カットオフ値30で呼吸器症状がないグループでも予測に有用とされた。

Table 3

ROC curve analysis of SBCT performance in predicting NIRS in different subgroups of patients.

  SBCT
in Patients Not Requiring NIRS
SBCT
in Patients Requiring NIRS
p-Value
Patients without chronic respiratory disease 30.7 ± 7.5 25.3 ± 5.1 <0.0001
Patients not needing supplemental oxygen therapy 30.1 ± 7.5 26.7 ± 3.0 0.007
Patients needing supplemental oxygen therapy 32.0 ± 0.0 20.8 ± 8.6 0.003
Patients without dyspnea at rest 31.5 ± 4.2 24.5 ± 3.2 <0.0001
Patients with PaO2/FiO2 > 280 29.7 ± 7.9 20.0 ± 6.6 0.0001
Patients with SpO2/FiO2 > 438 30.1 ± 7.9 27.3 ± 3.8 0.135
Patients with normal respiratory rate 30.2 ± 8.1 25.1 ± 3.2 0.0001
Patients with normal respiratory rate and absence of dyspnea at rest 31.9 ± 4.5 25.1 ± 3.3 <0.0001

Abbreviations: NIRS, non-invasive respiratory strategies; SBCT, single-breath counting test.

写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はjcm-11-00179-g002.jpgです。
 
 
SBCTを使えば、電話での健康観察も行えるので、簡便に使えます。
ただ、これは英語?イタリア語で行っているため、カットオフ値は日本語だと変わる可能性もあります。
 

便秘の原因となる胸腰椎移行部の圧迫骨折

2021 Jul 30;14:4117-4123.
 doi: 10.2147/IJGM.S320953. eCollection 2021.

Prevalence and Risk Factor Analysis of Constipation After Thoracolumbar Vertebral Compression Fractures

 
胸腰椎移行部の圧迫骨折(TVCFS)は、
脊椎の圧迫骨折では最も頻度高い場所。
 
117名のTVCFS患者を対象に、便秘の有病率と危険因子を調査した報告。
対象のうち、83名(70.9%)にローマ分類における便秘が認められた。
危険因子としては、

Zengyechengqi Decoction Treatment⇒漢方薬

の使用が関連するとされました。

Table 1

Demographic and Clinical Characteristic of Patients with Constipation After TVCF (n=117)

  Total Number of Patients (%) Number of Constipation Patients (%) Number of Patients without Constipation (%) χ2 P value
Patients (n) 117 (100%) 83 (70.9%) 34 (29.1%)    
Gender       0.003 0.957
 Female 96 (82.1%) 68 (81.9%) 28 (82.4%)    
 Male 21 (17.9%) 15 (18.1%) 6 (17.6) 0.952 0.621
Age          
 60~69y 66 (56.4%) 48 (57.8%) 18 (53.0%)    
 70~79 y 36 (30.8%) 26 (31.3%) 10 (29.4%)    
 ≥80 y 15 (12.8%) 9 (10.8%) 6 (17.6%)    
Number of fractured vertebrae       0.095 0.953
 1 98 (83.8%) 70 (84.3%) 28 (82.4%)    
 2 10 (8.5%) 7 (8.4%) 3 (8.8%)    
 ≥3 9 (7.7%) 6 (7.2%) 3 (8.8%)    
Main fracture segment       0.404 0.817
 Thoracic segments (T10 and above) 5 (4.3%) 3 (3.6%) 2 (5.9%)    
 Thoracic-lumbar segment (T11~L2) 93 (79.5%) 67 (80.7%) 26 (76.5%)    
 Lumbar segment (L3 and below) 19 (16.2%) 13 (15.7%) 6 (17.6%)    
Degree of vertebrae compression       18.019 0.000*
 Mild 42 (35.9%) 20 (24.1%) 22 (64.7%)    
 Moderate 46 (39.3%) 37 (44.6%) 9 (26.5%)    
 Severe 29 (24.8%) 26 (31.3%) 3 (8.8%)    
TCM syndrome type       2.583 0.108
 Qi stagnation/blood stasis 106 (90.6%) 78 (94.0%) 28 (82.4%)    
 Liver/kidney insufficiency 11 (9.4%) 5 (6.0%) 6 (17.6%)    
Use of painkillers       0.016 0.900
 No 54 (46.2%) 38 (45.8%) 16 (47.1%)    
 Yes 63 (53.8%) 45 (54.2%) 18 (52.9%)    
Diabetes       0.007 0.932
 No 102 (87.2%) 73 (88.0%) 29 (85.3%)    
 Yes 15 (12.8%) 10 (12.0%) 5 (14.7%)    
Use of Zengyechengqi decoction       19.570 0.000*
 No 90 (76.9%) 73 (88.0%) 17 (50%)    
 Yes 27 (23.1%) 10 (12.0%) 17 (50%)  
 
 
今回の対象者は、基準の中に、圧迫骨折から24時間以内の入院とあるので、こうした便秘症状は、圧迫骨折後、早期に出現することが多いと思います。
今まであまり意識したことがありませんでしたが、後から出現することもあるのでしょうか?
その場合、便秘の訴えでは胸腰椎移行部の圧迫骨折も可能性として考慮する必要がでてきます。
 
 

手掌おとがい反射について

2005 May 10;64(9):1656.
 doi: 10.1212/01.WNL.0000160525.50482.C7.

Lack of hemispheric localizing value of the palmomental reflex

 
以前も取り上げたことのある、手掌オトガイ反射です。
 
片側の手掌オトガイ反射を認めた39名を対象にした研究で、
44%に同側の大脳半球病変を認め、
36%に対側の大脳半球病変を認めた。
10%は両側の大脳半球病変を認め、
10%には脳病変は認められなかった。
 
健常者でも認めることはありますが、
認知機能の低下を疑う徴候がある場合は、手掌オトガイ反射は試してみる価値はあるかもしれません。
ただ、この反射がないからといって、脳病変がないことにはならないことにも注意が必要です。
 

スナップ音を伴う股関節痛

Review

Snapping Hip Syndrome

In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2021 Jan.
.
 
文献としての質は低いかもしれませんが、他に見つけられなかったので、この文献を参照しました。
 
Snapping Hip syndrome⇒弾発股症候群
股関節の動きで、スナップ音(ごりっ・ポキッなどの音が鳴る)が認められ、痛みを伴うこともある。
最も多い原因は、股関節の使いすぎによるもの。その他として大殿筋の筋肉注射や外科的処置によるもの。
有病率は、人口の5-10%程度とされ、大多数は痛みは伴わず、女性の方がやや多い。
スポーツ選手に多く、バレエやサッカーなどで多い。
バレエでは、90%が経験するとされ、その多くは両側性。
 
Snapping Hip syndromeの病因;
股関節前方部の異常を呈することが多い。
関節内:関節唇の損傷によるものが多い
関節外:筋・腱の異常(ハムストリングス・殿筋・腸腰筋など)
⇒股関節の動きで、これらの摩擦などが起こり、スナップ音(クリック音)が起こる。
 
大転子滑液包炎や腸脛靭帯の炎症を誘発している場合があるため、
側臥位で大転子が床に当たると痛みが起こるか?
Oberテスト(腸脛靭帯症候群のテスト)
などを確認する。
 
単純X線写真は、あまり役にたたないが、他の疾患の除外には使える。
 
基本的に、痛みがない場合は、治療の必要はないとされる。
痛みが伴う場合は、保存的治療として、安静・ストレッチ・ステロイド理学療法などが行われる。
 
 
患者さんは、股関節の亜脱臼を起こしたという感覚になることもあるとのこと。
私はまだ、経験がないが、似た現象として、
ラソン中に、内転筋群の痙攣が起こった瞬間に、股関節の脱臼を起こしたと一瞬思った経験があります。
 
じっくりと話を聞いて、股関節を動かし、スナップ音の確認と同時に、痛みを伴うかの確認がまずは必要。