胃食道逆流症(GERD)は、
胃酸を含む内容物が、食道に逆流する病態の全般を指す。
症状や病態で、
逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症(NERD)に分けられます。
大まかには、
胸やけや呑酸(胃液などで口が酸っぱいまたは苦い状態)があり、内視鏡にてびらんや潰瘍がある状態を逆流性食道炎
症状は同じでも、内視鏡では異常がないものをNERDとしています。
まずは、日本人を対象にした健康診断で食道炎と診断された割合について。
Randomized Controlled Trial
. 2005 Sep;40(9):1005-9.
doi: 10.1080/00365520510023260.
Prevalence of endoscopically negative and positive gastroesophageal reflux disease in the Japanese
日本人2760名(平均年齢50.4歳、24-84歳)を対象に、
症状は、日本語版Carlsson-Dent自己記入式質問票(QUEST)に自己記入し、
診断結果を、所見なし・
NERD・症候性GERD・無症候性GERDの4つに分類。
その結果、
所見なし;82.1%
症候性GERD;1.8%
無症候性GERD;5.2%
と、GERDが約18%を占めていた。
また
NERD>無症候性GERD>症候性GERDの順で多かった。
年代別の症状の頻度;
. 2006 Oct;54(10):1537-42. doi: 10.1111/j.1532-5415.2006.00899.x.
Clinical features of reflux esophagitis in older people: a study of 840 consecutive patients
Alberto Pilotto 1,
Marilisa Franceschi,
Gioacchino Leandro,
Carlo Scarcelli,
Luigi P D'Ambrosio,
Davide Seripa,
Francesco Perri,
Valeria Niro,
Francesco Paris,
Angelo Andriulli,
Francesco Di Mario
840人の患者を対象に調査した結果、年代別に症状の頻度をみると、
胸やけや呑酸は年齢が高くなるにつれ訴える割合は減り、高齢者では食欲低下、貧血、嘔吐といった症状を訴える割合が高くなる傾向にある。
下グラフの疼痛とは、胸骨後痛や心窩部痛を指す
Comparative Study
. 2004 Jun;239(6):849-56; discussion 856-8.
doi: 10.1097/01.
sla.0000128303.05898.ee.
Laryngopharyngeal reflux symptoms better predict the presence of esophageal adenocarcinoma than typical gastroesophageal reflux symptoms
GERD患者50名
健常者56名
の3グループで比較。
逆流症状以外に
咽頭喉頭症状があれば、
食道がんの可能性があるので、
鍼灸院ではここは確認しておきたいところ。
しかし、胸やけや胃酸逆流症状のみであったとしても2割は
食道がんの可能性があることも知っておく。
このほか、高齢者の胸やけの訴えが「胸痛」と混同されることがあります。
年齢が高くなるにつれ、GERDにおける胸やけ症状は頻度が下がります。
そこで高齢者が急性の胸やけを訴える場合は、胸痛の可能性(心疾患など)を考慮して病院精査(心電図など)を行ってもらうように勧める方がいいと考えます。