肩の痛みPart2;関節包症候群と急性滑液包炎
1.関節包症候群;五十肩や癒着性関節包炎
関節内に起こる病態なので、疼痛+ROM制限が受動・能動のともに起こる。
同じく関節内に起こる病態として、感染性心内膜炎などの感染やリウマチなどが鑑別に挙がる。
癒着性関節包炎と五十肩は、完全に別々の病態ではなく、一連の流れとして起こることもある。
(1)癒着性関節包炎:別名では凍結肩(Frozen shulder)
・外傷などで数週間安静にしたあと起こる
⇒機序として、自己免疫(炎症)が示唆されており、関節可動域の制限あり
・関節包とその周辺の「のり付け」が起こった状態
・痛み+能動的・受動的関節可動域制限
(2)五十肩(肩関節周囲炎)
・1800年代の江戸時代からあり、長命病とされた
・40-60歳代に明らかな外傷がない有痛性関節拘縮
・明らかな原因がある場合は五十肩とは呼ばない
・炎症期~拘縮期~回復期と移行することが多い。
2.急性滑液包炎
肩峰下腔で起こるが、肩峰下症候群と比べて、より急性かつ炎症ないし腫脹が強い。
主に上腕外側の痛みを訴えることが多い。⇒肩峰下滑液包による
三角筋の滑液包で起こることもある。
外転の受動的可動域制限あり
鑑別として、リウマチ性多発筋痛症(PMR)がある。
PMRでは、発症時期が明確で、肩や腰、足の痛みや立ち上がりにくくなったという訴えがある。PMRの肩病変では、肩峰下滑液包炎や三角筋滑液包炎が起こる⇒圧痛部位の確認が必要。
両腕を挙上(バンザイ)すると疼痛が起こる。
PMRはステロイド治療が奏功する。