サルトジェネシスについて
サルトジェネシス(健康創成論)と患者力
青山幸生※1,牧 裕一※1,山本達夫※1広門靖正※1,永田勝太郎※2
Comprehensive Medicine. 2019;18(1):22-28.
全人的医療とは,医療の視点を患者の臓器単独に置くのではなく,患者をいつ,いかなる場合でも “ 病をもった人間 ”として捉え,身体・心理・社会・実存的視点から,包括的に理解し,その過程の中から患者固有の問題解決を図り,資源を見出し,それを活性化することで人間としての秩序を整えようとする医療のことである.
全人的医療において、
という概念がある。
両者は、and/orの関係にある。
患者固有の資源を活性化する。⇒サルトジェネシスに相当し、資源は患者力に相当
サルトジェネシスは、Aaron Antonovsky(1923-1994)により提唱された新しい健康についての概念。
サルトジェネシスの考え方の特徴
1.健康中心主義
2.健康と病の連続性
3.ストレッサーの偏在
4.リソース志向
5.コヒアレンス感
がある。特に4と5が大切。
こうした考え方からなる医学は、鍼灸医学や漢方医学などの伝統的東洋医学などが含まれる。
病気になる病因が健康状態を決定(パソジェネシス)するのではなく、健康を守ろうとする因子(ヘルス・リソース:健康資源)も大切で、これが脅かされると病因による不健康な状態に陥る。なので、健康資源を探し、活性化させることが大切になる。
具体的な健康資源として、
①物理的資源(教育,地位,書物,経済力など),
②社会的資源(人間関係,家族,周囲の支援や理解など),
③心理的資源(安定した世界観,価値観,人生観,生きる意味)など
が考えられ,特に最後の心理的資源が最も重要であると考えられている。
その他、重要な要素として、
コヒアレンス感:人生には意味があると思える感覚
~理解可能性
~管理可能性
~有意味性
がコヒアレンス感の3本柱
こうした考え方は難しく感じてしまいますが、普段の生活の中に潜んでいたり、ふとしたときに実感したりしているものです。
そうしたものを言語化したり、体系立てることは、難しいですが、面白くもあります。