都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

脂肪腫について

左背部痛を訴える70代の男性が先日来院。

臥床時のみ痛む。

触診にて柔らかく可動性のある腫瘤らしきものがあった。

押さえても痛みは誘発されず。

脂肪腫かな?と思いながら病院受診を勧めた。

 

脂肪腫は軟部腫瘍に属し、

軟部腫瘍は、脂肪腫神経鞘腫などの良性軟部腫瘍と、

脂肪肉腫や滑膜肉腫などの悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)に分けられる。

また良性と悪性の中間腫瘍もある。

良性は悪性に比べ発生頻度も高い。

全国骨・軟部腫瘍登録(2008年;3708例)では、良性70.4%・悪性29.6%だったとされる。

 

年齢・性差;

脂肪腫は40歳代から増加傾向、60歳代でピーク

男性にやや多い

図2 主な軟部腫瘍*の年齢別登録数数

発生部位;全国骨・軟部腫瘍登録(2015年;31168例)

良性軟部腫瘍では、

手・手関節:13.3%

大腿:12.5%

背部・腰部:10.2%

足・足関節:9.4%

肩・腋窩:9.3%

とされた。

しかし脂肪腫単独では、肩や背部が多い。

 

大きさ;

5cm以上では悪性の可能性が上がる。

悪性13647例のうち、5cm未満だったのは19%、5cm以上は81%だった。

 

問診のポイント;

発症の仕方:

いつ気付いた、どのように気付いた、大きさの変化は?

良性は大きくなるのに数年単位(悪性でも年単位はある)だが、悪性は月単位

突然もしくは数日で大きくなったならば、膿瘍や筋肉内出血などが考えられる。

 

疼痛の有無:

悪性骨腫瘍は痛みを伴うが、良性・悪性の軟部腫瘍では痛みは生じないことが多い。

疼痛発生しうるものとして、血管腫やグロムス腫などがある

 

触診のポイント;

皮下発生で柔らかい腫瘍は良性のことが多い。

悪性腫瘍は、表面平滑もしくは結節状で弾性硬が多い。

完全に鑑別するのは難しいので、参考程度。