都城鍼灸ジャーナル

宮崎県都城市で鍼灸師をしている岩元英輔(はりきゅうマッサージReLife)です。読んだ論文を記録するためのブログです。当院のホームページ https://www.relife2019.jp/index.html しんきゅうコンパス https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33749

腰痛評価としての5回反復座位-立位テスト

本日は、5回反復座位-立位テストの腰痛評価について。

私は、このテストを実際に行ったことはないので、詳しくはないですが、腰痛評価として使えるとのこと。

 

 
 2018 Oct;29(4):380-387. doi: 10.3171/2018.2.SPINE171416. Epub 2018 Jun 29.

The five-repetition sit-to-stand test: evaluation of a simple and objective tool for the assessment of degenerative pathologies of the lumbar spine.

 
5回反復座位-立位テスト(5R-STS);
座位と立位を5回繰り返し、その時間を測定する。
実施方法は、参加者は、標準の高さ(48 cm)のアームレスチェアに座る。参加者は、胸の前で腕を組み、足を地面に平行に保つ。参加者は、安定した靴を履き、運動に慣れるために、参加者は上肢を使わずに立ち上がって、もう一度座るように練習した。支援が必要な場合、または操作を完了できなかった場合はテストは中止。それ以外の場合、患者は「go」コマンドを開始して、立ち上がって再び座るを、できるだけ早く5回連続で行った。ストップウォッチを使用して計測。患者が30秒以内にテストを終えなかったら、またはまったく実行できなかった場合は、スコアは30秒として記録された。
Fig. 1.
 
このテストを使い、変性病変を有する腰痛患者を評価できるか?を検証。
 
腰痛患者157名とボランティアの80名が参加。
評価には、
5R-STS
Roland-Morris Disability Questionnaire(RMDQ)、
Oswestry Disability Index(ODI)、
背中と足の痛みのビジュアルアナログスケール(VAS)、
健康関連の生活の質のためのEQ-5D
を行い、それぞれの相関をみた。
 
その結果、
 
背景の比較;
対照群の方が年齢が若かった。
腰痛患者の方に、喫煙者は多く、体重とBMIも大きい。
TABLE 1.

Baseline characteristics of the study and control groups

Characteristic Study Group (n = 157) Control Group (n = 80) p Value
Male sex 80 (51) 43 (54) 0.68
Age, yrs 49.90 ± 14.10 43.03 ± 18.68 0.004
Height, cm 175.62 ± 10.44 173.40 ± 9.29 0.096
Weight, kg 78.50 ± 13.51 72.40 ± 13.58 0.001
BMI, kg/m2 25.38 ± 3.28 24.05 ± 4.25 0.016
Smoking status     <0.001
 Active smoker 44 (28) 14 (18)  
 Ceased smoking 59 (38) 17 (21)  
 Never smoked 54 (34) 49 (61)  
Ability to work      
 Full 50 (32) 76 (95) <0.001
 Limited 33 (21) 2 (3)  
 Unable 74 (47) 2 (3)  
Prior spine surgery 25 (16) 6 (8) 0.07
History of pain     <0.001
 None–6 wks 8 (5) 73 (91)  
 6 wks–6 mos 27 (17) 1 (1)  
 6 mos–1 yr 42 (27) 0 (0)  
 >1 yr 80 (51) 6 (8)  
Analgesic drug use     <0.001
 Daily 120 (76) 10 (13)  
 Weekly 15 (10) 7 (9)  
 Not regularly 22 (14) 63 (79)  
Indication    
 Disc herniation 109 (69)  
 Stenosis 32 (20)  
 Spondylolisthesis 9 (6)  
 DDD 5 (3)  
 Synovial facet cyst 2 (1)    
Index level    
 L2–3 4 (3)  
 L3–4 21 (13)  
 L4–5 64 (41)  
 L5–S1 68 (43)  
PROM scores      
 RMDQ 11.65 ± 5.34 0.78 ± 1.45 <0.001
 ODI 43.04 ± 17.60 2.55 ± 7.39 <0.001
 VAS back pain 5.83 ± 2.76 0.95 ± 1.73 <0.001
 VAS leg pain 7.35 ± 1.97 0.40 ± 1.10 <0.001
 EQ-5D index 0.41 ± 0.32 0.94 ± 0.15 <0.001
 EQ-5D VAS 51.44 ± 18.98 86.58 ± 11.62 <0.001
— = not applicable.Continuous variables are presented as mean ± SD and categorical variables as frequency (percentage).
 
5R-STSの結果;
対照群:6.44±1.68秒
腰痛群:13.32±7.87秒
と有意な差が認められた。
また3名は、テストが完遂できなかった。
 
相関関係;5R-TSTとRMDQ、ODIには相関が認められた。
図2。
 
5R-TSTと腰痛重症度とVASが相関が認められた。しかし、下肢のVASとは相関無し。
図3
 
5R-TSTとEQ-5Dとは相関あり。EQ-5DVASとは相関なし。
図4
 
テストの信頼性;
一致率ICC0.98と高い。
 
図5
 
5R-TSTと腰痛の関係;
 
TABLE 3.

Severity stratification for the 5R-STS test

Impairment 5R-STS Severity Stratification
Test Time (sec) Prevalence  
OFI    
 Not significant ≤10.4 50%
 Mild 10.5–15.2 25%
 Moderate 15.3–22.0 15%
 Severe >22.0 10%
Patients’ OFI can be graded according to their 5R-STS test time in seconds. The approximate prevalence of each grade is given.
 
10.4秒を基準にすることで、これより早く行えた場合、機能障害はないと判断することが可能と示唆されている。
また、10.5〜15.2、15.3〜22.0、22.0秒を超える患者はそれぞれ軽度、中度、重度の機能障害があると判断できる。
 
特殊な機械を使うことなく、腰痛患者さんに腰部脊柱管狭窄症がないか?ヘルニアがないか?を抽出できる方法としては有用かもしれません。
鍼灸院でも行える検査方法なので、活用してみようと思います。